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 加工食品や冷凍食品などの卸売りを手掛ける旭食品(高知県南国市)が、AI(人工知能)を使った需要予測型自動発注による業務効率化と食品ロス削減を進めている。日立製作所と共同で取り組み、大手コンビニエンスストア向け商品のメーカーへの発注業務時間をおよそ8分の1に減らすなどの成果を得た。単なる需要予測ではなく複雑な商習慣や取引先との約束事をAIに制約として組み込むことで、人手を要する例外処理の少ない「使える」システムに仕上げた。

 活用したのは日立製作所の「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」と統合物流管理システム「HITLUSTER(ヒットラスター)」だ。HITLUSTERで在庫管理業務を自動化しつつ、需要予測型自動発注サービスで一元化された在庫データと需要予測を連携させ、需要や在庫の状況に合わせて欠品や返品によるロスが少なく利益を最大化できる発注量を自動導出する。

在庫データと需要予測を組み合わせて最適な発注量を計算する
在庫データと需要予測を組み合わせて最適な発注量を計算する
(出所:日立製作所)
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 発注担当者はAIが計算した発注量を確認し確定させるだけで発注が完了する。以前は取引先の小売りからの発注データを1品目ごとに確認し、過去の経験や天候、販促イベントなどの情報を収集・考慮して発注量を決めていた。

 現在自動発注の対象としているコンビニエンスストア向け商品には国内35カ所の物流拠点があり、およそ8人の熟練担当者が発注業務に週に3日、それぞれ約4時間を費やしていたという。自動発注により、発注業務は1人1日あたり約30分と8分の1に減った。さらに欠品を約4割減らしつつ、コンビニに卸す期限を過ぎた商品のメーカーへの返品も最大で約3割減らした。

 需要予測では、旭食品が発注量を決める際に重視しているデータを抽出してAIに入力する。在庫量や取引先からの発注データに加え、曜日や季節のほか天候、販促イベントの有無や種類、商品の賞味期限、過去の発注量や欠品量といった様々なデータを用いる。

 需要量の重要な要因の1つとして、取引先(コンビニエンスストア)の発注担当者が商品を普段より多く用意しておかなければいけないという心理になるかどうかがある。旭食品はAIがこれを推論できるように、「どんな販促イベントがあるかといった情報を基に改良を重ねた」(旭食品の芝崎演之広域営業本部営業第一部発注管理センター課長)という。