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 會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)は展示会「第2回スマートエネルギーWeek秋」(千葉・幕張メッセ、2022年8月31日~9月2日)で、海上に浮かべた浮体「グリーンアンモニア製造艦」(Green Ammonia Production Ship:GAPS)の上で「グリーンアンモニア」を生産する計画を披露した。グリーンアンモニアとは、再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して得た「グリーン水素」(H2)と空気中の窒素(N2)、およびやはり再生可能エネルギー由来の電力を基に合成したアンモニア(NH3)を指す。

會澤高圧コンクリートのブースの様子
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會澤高圧コンクリートのブースの様子
(写真:日経クロステック)

 グリーン水素の洋上生産はドイツRWEなどが計画を発表済みだが、着床式風力発電ベース。浮体式風力発電ベースでしかもグリーンアンモニアの洋上生産計画は世界初といえる。

浮体上にアンモニア生産コンビナート

 このGAPSは、コンクリートベースの浮体式洋上風力プラントを海上に浮かべ、その上で海水の真水化、水電解による水素の生産、そして新技術によるNH3の合成や貯蔵までを行うシステムである。加えて、NH3の海上輸送や陸上でのNH3の運搬や水素ステーションでのNH3から水素への改質装置まで一気通貫で行う計画だ。建造するのはこれからだが、GAPS第1号の名前は「MIKASA」で、規模は10MW級。NH3は年産約1700tになるという。脱炭素は今後の地球の運命を左右する“戦い”であるとして、かつての戦艦三笠にちなんだ名前にしたという。

 やや詳しく説明すると、このシステムは、陸上の設備も含めて大きく8種類に分かれる。(1)コンクリートベースの浮体とその上の洋上風力発電プラント、(2)海水を真水化するRO(Reverse Osmosis)コンテナ、(3)その水を電気分解してグリーン水素を生産する水電解装置、(4)生産したH2と空気中のN2でNH3を合成するコンテナ、(5)合成したNH3の貯蔵タンクを格納したコンテナ、(6)NH3運搬船、(7)陸上の輸送システム、(8)水素ステーションにおいてNH3をH2に改質する装置、の8種類である。

構築予定のアンモニアの生産・流通システム全景
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構築予定のアンモニアの生産・流通システム全景
(画像:會澤高圧コンクリート)