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 BIPROGY(旧日本ユニシス)は、新会社「V-Drive Technologies」(東京・江東)を設立し、自動運転車の安全性評価を仮想空間で実施できるプラットフォーム(PF)「DIVP(Driving Intelligence Validation Platform)」の提供を2022年9月6日に開始した(図1)。

図1 SIPの成果であるDIVPの事業化・製品化を発表した関係者
図1 SIPの成果であるDIVPの事業化・製品化を発表した関係者
(写真:日経クロステック)
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 同PFは、「SIP第2期の課題の一つである『自動運転(システムとサービスの拡張)』」(SIP第2期の自動運転)の研究成果。実現象(実車試験)と一致性の高い安全性評価を仮想空間で実現できるようにするPFだという。

* SIPとは、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」のこと。

 手間もコストもかかる実車試験の一部を代替し、自動運転車の安全性評価を効率化できる上、実車では再現が難しい試験を仮想空間で可能にする。「センサーで対象物や周辺が見えているか、見間違いや見落としがないか」といった目の役割を持つセンサーの評価と、「車両の制御ソフトウエアで安全に走れているか」といった脳の働きを持つ車両制御ソフトの評価の両方が可能だ。

 そんなDIVPの最大の特徴は、実現象との一致性を高めるために、自動運転車で使われるカメラ、ミリ波レーダー、3次元レーザーレーダー(LiDAR)といったセンサーの出力を精緻に再現するモデルを用いていることだ。例えば、センサーの出力を、単なるRGB(赤・緑・青)信号として扱うのではなく、実際の電磁波のスペクトルとして扱うことで、仮想空間でより忠実にセンサー出力を再現できるように配慮している。

 加えて、センサー出力に影響を与えるさまざまな要素を加味してシミュレーションを行う環境を整備することでも、DIVPにおける実現象との一致性向上に結びつけている。

 例えば、他の車両や歩行者、路面、周辺構造物などの検知対象物において、電磁波の反射率は、形状や材質、色などで変化する。すなわち、雨でぬれた路面と乾いた路面でも反射率は異なるし、同じ車種のクルマでも色が違うだけで反射率は変わる。さらに、大気中の電磁波の透過率も晴れ、雨、霧、雪など気象条件の影響を受ける。

 さらに、センサーには逆光のような外乱も入る。フロントウインドーの背後に配置したセンサーの場合は、同ウインドーによる影響も出る。レンズなどの光学系がセンサーの受光素子の手前にあれば、その影響も当然受ける。

 DIVPでは、こうした影響を加味してシミュレーションを行う環境を提供する。