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 「スビードを意識して、タイトなスケジュールでシステムの開発を進めた結果、計画通りに稼働できた。ここからは加盟事業者と確認作業をしっかり進めていく」。小口決済インフラ「ことら」を運営する、ことら代表取締役社長の川越洋氏は語る。同社は2022年8月8日、「ことら送金サービス」を10月11日に開始すると発表した。ことらと接続する金融機関(加盟事業者)に口座を持つ利用者に対し、スマートフォンアプリから携帯電話番号やメールアドレスを使って10万円以下の送金ができるようにするものだ。

「ことら送金サービス」の概要
「ことら送金サービス」の概要
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 ことらシステムは7月26日に本番稼働を開始し、現在は関係者による試行を進めている。NTTデータ経営研究所アソシエイトパートナーの大河原久和氏は「銀行にとっては日常的な顧客接点を作れるメリットがある」と語る。

 8月12日時点で加盟事業者は41社。このうち、ことらの設立行である三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は10月11日にサービス提供を始めると表明している。開始時点で利用できるアプリは「Bank Pay」(3行とも)と「J-Coin Pay」(みずほ銀行)。三井住友銀行は「三井住友銀行アプリ」でも「時期は未定だが早期に提供できるよう対応を進めている」(同行)という。

 このほか、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティングは、地方銀行10行が利用するスマホアプリ「Wallet+」でことらを利用した送金機能を10月11日に提供開始し、その後、集金機能を追加する。代表取締役社長の明石俊彦氏は、「家族や親子、ルームシェア仲間同士などでのお金のやり取りは、現在でも現金が使われるケースが多い。ことらのサービスは銀行振込よりも使い勝手がよく手軽に送金できるため、日常遣いの場面で現金の代替手段になりうる」と期待をかける。

 ことら送金サービスの提供を表明済みの加盟事業者は、いずれも「手数料無料」としている。ことらでは「送金取引が成立したらそれを1件とカウントし、利用件数分の料金を頂く」(ことらの川越氏)形を取る。手数料を無料にすると、その分は加盟事業者側の負担となる。

 三井住友銀行はことらの利用料について、「多頻度小口決済に適した水準となっており、銀行間送金手数料もないため、提供原価を安価に抑えられる」とする。iBankマーケティングの明石氏も「顧客に費用負担をかけずに手軽に小口送金できる仕掛けを作るという、ことらの趣旨を踏まえると、手数料を無料にすることはほぼ前提となっていた」と話す。