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 「情報銀行サービスで顧客の購買情報も取得できないかと考えたのがきっかけだった」。三菱UFJ信託銀行 法人コンサルティング部情報銀行推進室の猪岡大輔調査役は金融庁の「FinTech実証実験ハブ」を通じて実施した、購買履歴情報などの効率的な取得方法に関する検証についてこう話す。検証は2020年8~9月に実施し、2022年7月29日に結果を公表した。

 同行が情報銀行サービス「Dprime」の本格運用を開始したのは2021年7月。2022年8月時点でDprimeアプリのユーザー数は約8万人に上る。Dprimeを通じて、仕事や趣味嗜好などに関する情報といったパーソナルデータを収集。個人の承諾を得て、活用を希望する企業にデータを提供している。

三菱UFJ信託銀行とBHIによる情報銀行業務の実証実験イメージ
三菱UFJ信託銀行とBHIによる情報銀行業務の実証実験イメージ
(出所:金融庁の資料を基に日経FinTech作成)
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メール連携で情報を抽出

 Dprimeでは現状、購買情報を取得していない。情報銀行事業で取得が認められていない、病歴や信条などに関わる「要配慮個人情報」が購買情報に含まれる可能性を排除しきれないからだ。今回の検証はシステム面に加えて、購買情報のデータが要配慮情報に該当するかなどを金融庁の枠組みを使って確認することを目的とした。

 EC(電子商取引)サイトの購買履歴取得技術を持つBHIも参加し、三菱UFJ信託銀行の行員20人程度を対象に購買履歴の情報を取得した。その流れは以下の通り。アプリで購買情報をDprimeに連携してよいかの同意を得た後で、BHIのクラウドサービスに「Gmail」「Yahoo!メール」といった個人のメールアカウントを連携。ECサイトで商品を購入すると、登録済みのメールアカウントに自動配信される購入内容に関するメールが、BHIのクラウドに転送される。その内容をテキスト解析技術を使って分析し、購入した商品や購入先、数量、金額といった情報を抽出する。

 この情報をDprime側の個人IDとひも付けして、年齢や性別などの属性情報を追加する。購買情報を企業に渡す際は、氏名や番地を含む住所など個人を特定する情報は排除する。