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 日産自動車は2022年9月上旬、同年7月に発表した新型「エクストレイル」の報道陣向け試乗会を開いた。新型車には四輪駆動(4WD)モデルと二輪駆動(2WD)モデルがあり、全車にシリーズ式のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載。このうち4WDモデルには、同社の電動化技術と4WD制御技術、シャシー制御技術を統合した電動駆動四輪制御技術「e-4ORCE」を新たに採用した。同社は、新型車の魅力の一つとしてe-4ORCEに自信を示す。

新型エクストレイルの外観
新型エクストレイルの外観
(写真:日経クロステック)
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 e-4ORCE を搭載する4WDモデル(以下、e-4ORCE搭載車)は、前後に2基のモーターを搭載する。フロントモーターは最高出力150kW/最大トルク330N・m、リアモーターは同100kW/同195N・m。リアモーターは同社が2022年5月に発表した軽自動車の電気自動車(EV)「サクラ」と基本的に同じものを使っている。サクラは軽自動車のため最高出力は47kWに抑えられているものの、最大トルクはエクストレイルのリアモーターと同じ195N・mだ。

 e-4ORCEは、これら2基のモーターと左右のブレーキを統合制御することで四輪の駆動力を最適化し、走行性能を高めるシステムだ。同社のEV「アリア」の4WDにもe-4ORCEを設定している。「システム自体は基本的に同じだが、車重やシャシーに合わせてそれぞれチューニングしている」(日産自動車Nissan 第二製品開発本部Nissan 第二製品開発部シャシー&車両運動性能開発グループ主管の加藤友一氏)という。

前後に1基ずつモーターを備える
前後に1基ずつモーターを備える
(出所:日産自動車)
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 特にe-4ORCEの恩恵を受けられるのがコーナリングの走行時だ。通常は前輪駆動を前提としているが、コーナリングでステアリングを切り始めると素早く後輪の駆動力配分を高める。前輪の配分を落とすことで「横に曲がる力に余裕を持たせることができる」(加藤氏)。ステアリングを切ったままさらにアクセルを踏み込んで加速すると、駆動力を上げるとともに内輪にブレーキをかけて曲がりやすくする。ブレーキをかけても駆動力を上げているため、減速することはないという。これらの制御によって、アンダーステアが出ることなく意のままのコーナリング走行ができるというわけだ。

ブレーキと前後のモーターで走行を制御する
ブレーキと前後のモーターで走行を制御する
試乗会ではワインディングも走ったが、ライントレース性が高いと感じた(出所:日産自動車)
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 e-4ORCE搭載車の場合、アクセルを離した時に前輪・後輪のモーターで回生するため、四輪でなめらかに減速でき、乗員もフラットな姿勢を保てるという。実際にe-4ORCE搭載車に試乗したが、ワンペダルドライブでアクセルを離したときの回生時も記者の姿勢は安定していた。一方、2WD車は前輪のモーターのみで回生するため、減速時に乗員の頭が振られることが多い。

4WDの方が四輪で回生するため、乗員の姿勢変化を抑制できる
4WDの方が四輪で回生するため、乗員の姿勢変化を抑制できる
(出所:日産自動車)
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