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 睡眠で世界平和をつくる――。NTT東日本がスリープテックを活用した睡眠事業に力を入れている。2022年9月3日には睡眠に関する新たなイノベーションの創出を目指したコミュニティー「Sleep Network Hub ZAKONE」を開設した。「2025年度に売上高で10億円規模に成長させたい」(ビジネスイノベーション本部ソリューションアーキテクト部の佐々木翠氏)と意気込む。

睡眠計測のAPI/SDKも提供へ

 日本インフォメーションの調査によると、日本人の約半数となる49.2%が睡眠に関する悩みを抱えている。睡眠障害や睡眠不足は集中力の低下につながり、様々な疾病リスクが高まるとの調査データもある。NTT東日本はICTを活用して睡眠に関する課題を解決したいと考え、睡眠医学の知見を持つブレインスリープと連携。2022年6月に子会社のNTT DXパートナーを通じ、ブレインスリープが提供する睡眠可視化サービス「睡眠偏差値 for Biz」の販売を始めた。

 NTT DXパートナーは2022年11月から睡眠偏差値 for Bizのオプションとして、睡眠計測デバイス/アプリ「ブレインスリープ コイン」を活用した分析サービスも始める。従来の睡眠偏差値 for Bizはアンケートベースの評価であるのに対し、同オプションサービスでは日次の計測データを基に睡眠の質をより深く分析できる点を売りにする。

衣服のウエスト部分に装着するクリップ型のデバイス
衣服のウエスト部分に装着するクリップ型のデバイス
(写真:NTT東日本)
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 ブレインスリープ コインでは、衣服のウエスト部分に装着するクリップ型のIoT(インターネット・オブ・シングズ)デバイスとスマートフォンのアプリを組み合わせて計測する。主に前者は加速度センサーで睡眠時間や寝姿勢、温度センサーで寝床内温度などを取得し、後者は環境音やいびき音などを取得する。睡眠偏差値 for Bizでは睡眠のメカニズムを解説したり、良質な睡眠のためのストレッチや呼吸法などを紹介したりする動画コンテンツを提供する。まずは睡眠の状態を把握したうえで、自らの改善活動につなげてもらう狙いだ。

 NTT DXパートナーは2022年11月から外部のシステム/アプリ開発者向けにAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とSDK(ソフトウエア開発キット)の提供も始める。睡眠偏差値 for Bizやブレインスリープ コインの機能を自社システム/アプリに手軽に組み込めるようになる。例えば食事や運動、健康管理などのヘルスケア関連アプリに睡眠計測機能を追加する用途を想定する。様々な企業に睡眠事業への参入を促し、睡眠市場の拡大につなげていきたい考えだ。