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 フランスの半導体産業調査会社であるYole DéveloppementからMEMS(微小電子機械システム)企業の2021年の売上高ランキング・トップ30(図1)が発表された ニュースリリース 。例年、このMEMS売上高ランキングは6月から7月に発表されるが、今年は9月の発表となった。

図1 MEMS企業の2021年売上高ランキング
図1 MEMS企業の2021年売上高ランキング
(出所:Yole Développement)
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例外的な成長を見せた2021年

 まず、Yole DéveloppementのConsulting Services Division Project ManagerであるDimitrios Damianos博士が指摘していることは、多くのMEMSメーカーが売上を大きく伸ばし、全体として2020年から2021年にかけて市場は115億米ドルから136億米ドルへと17%もの記録的成長を見せたことである。MEMS市場の平均的な年成長率は5~10%程度であり、17%というのは、Yole Développementが評すように「例外的」である。

 2021年は半導体不足が叫ばれ、多くの企業が半導体デバイスの確保に奔走した。その中でMEMSにも通常より多くの注文が入ったと思われる。確保されたMEMSの一部は、在庫積み増しに回っているはずである。また、品不足を受けてデバイスの平均単価(ASP)も若干上がったとYole Développementは分析している。しかし、今年に入って半導体市場は調整期に入っており、上述の「例外的」成長が今後も続くことはないだろうと思われる。

 ただ、MEMS市場の成長は今後も継続的に続くと期待できる。Yole Développementの今後の市場成長予測(図2)によると、特に高い成長力を見せる商品群は、光MEMS(マイクロミラーデバイスなど)、RFデバイス(ほぼすべてBAWフィルター)、タイミングデバイス、およびスピーカーである。また、マイクロフォンと慣性センサーも引き続き力強く成長すると予想されている。

図2 MEMS市場の成長予想と商品別ブレークダウン
図2 MEMS市場の成長予想と商品別ブレークダウン
(出所:Yole Développement)
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上位4社は変わらず

 2021年のランキングでも、上位4メーカー、独Robert Bosch、米Broadcom、米Qorvo、伊仏合弁のSTMicroelectronicsの順位は変わらない。どの企業も大きく売り上げを伸ばした。Boschは2014年以来、ずっと首位を守っている。

 そのBoschは、2026年に300mmウエハーでMEMSを量産する予定であることを、Stefan Hartung会長の言葉として2022年7月に発表しており、自社のMEMS事業の成長性の高さに自信を持っていると思われる。