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 空調機の生産台数を2倍以上に増やす──。ダイキン工業が2030年における空調機(家庭用エアコン+業務用エアコン)の年間生産台数の見込みを公表した。現在の1000万台超/年を、2030年には2000万台以上/年に引き上げる。併せて、インバーター搭載機の比率も現在の7割からほぼ100%に高める考えだ。

業務用エアコンの内部構造
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業務用エアコンの内部構造
安定的に生産し続けるために、圧縮機の中に組み込むモーターの磁石レス化や、インバーターに搭載する半導体の自社開発化を進める。(写真:日経クロステック)

 年間生産台数を今後8年以内に1000万台以上増やす上で、足かせとなるのが、レアアースと半導体の調達である。ダイキン工業はこれらの課題に向けて手を打ち、成長に向けた安定生産を強化する。

 レアアースは磁石の高性能化に必要な材料。重レアアースであるジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)は磁石の耐熱性を、軽レアアースであるネオジム(Nd)は磁力を高める役割を果たす。ところが、世界で電動車(xEV)や風力発電システムが急増しており、高効率モーターの需要が増す中で、同モーターに組み込むレアアース磁石のニーズも急速に増えている。そのため、今後はレアアースを巡って奪い合いが激化する可能性がある。加えて、レアアース資源は偏在しており、中でも重レアアースは世界需要を中国に大きく依存するなど、カントリーリスクも高まっている。

 そこで、同社はレアアースレス化に取り組む。まず、モーターに使う磁石について、レアアースを使用している現行のネオジム系磁石からレアアースを使わないフェライト磁石への置き換えを図る。これにより、「レアアースゼロ」のモーターを開発し、2023年度から一部の製品に搭載する。さらにその先には、「磁石レス化」を進め、ステーターがローターコア(鉄心)を吸引する力(リラクタンストルク)だけで回転するモーターを開発する計画だ。

 こうして、2022年以降のネオジム系磁石の使用量を抑えていく。2025年までには、空調機全体の重レアアースの使用量をゼロにする考えである。

 磁石レス化によって効率が落ちる分は、ローター構造の工夫やインバーターにおける制御などとの擦り合わせで、できる限りカバーするという。