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 生産性の向上はすべての企業にとって重要な課題だ。なかでも製造業は労働人口の減少の影響を直接受けやすい。そこで、ITやIoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用して現場の改善活動に取り組む企業が増えている。産業廃棄物処理のための破砕機や天井クレーンなどを開発・製造するウエノテックス(新潟県上越市)もその1つだ。工場の生産ラインの稼働状況を可視化するIoTシステムを内製し、工作機械の待機時間の短縮で現場の生産性向上へとつなげた。

 ウエノテックスは数年前から工作機械の生産性向上を目指すプロジェクトを進めていた。しかし、思うような成果が上がっていなかった。同社の上野光陽社長は「モーターの電流値を監視して、機械の稼働・停止時間を把握できていていた。しかし停止する理由までは分からなかったので、生産性向上につながらなかった」と語る。

ウエノテックスの上野光陽社長
ウエノテックスの上野光陽社長
(写真:日経クロステック)
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 そこで2022年2月に今回のIoTシステムを導入した。工作機械の稼働状態を示す信号灯の色と点灯時間をセンサーで計測するとともに、作業者が専用のタブレットで機械が停止している理由を選択する。例えば「故障」や「メンテナンス」、「工具交換」といった理由だ。情報をクラウドサービスで集約して、日ごとの稼働状況をタイムチャートとして確認できるようにした。

工作機械の稼働状態を示す信号灯の色と点灯時間をセンサーで計測する
工作機械の稼働状態を示す信号灯の色と点灯時間をセンサーで計測する
(写真:日経クロステック)
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作業者が専用のタブレットで機械が停止している理由を選択する
作業者が専用のタブレットで機械が停止している理由を選択する
(写真:日経クロステック)
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 同年9月下旬時点で、本社工場などにある13台の大型機械にこのような仕組みを導入した。「各機械で停止理由に特徴があることが分かった。機械に応じた改善策を打てるようになった」(上野社長)。例えばある機械は、制御プログラムの更新作業の多くを、プログラムの入力作業が占めていた。プログラムの入力作業を事前に済ませた結果、更新作業が短くなり待機時間を減らせた。「こうした改善活動によって機械全体の待機時間を20%程度削減できた」(上野社長)と語る。

 システムを導入したことで、現場の意識も変わってきた。改善活動の成果を「見える化」できるようになったからだ。上野社長は「今後は作業員の努力に報いる報奨制度を導入するなどして、さらなる改善につなげる」と意気込む。小型の工作機械にも導入を検討しており、生産性向上の取り組みを加速させる考えだ。