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 コニカミノルタは2022年8月下旬、センシング事業の主要拠点である堺サイト(堺市)でメディア向けの見学会を開催した。同拠点で造る製品は少量多品種で、大量生産型の工場と比べると人が介在する作業が多くならざるを得ない。同社はそうした環境下でも、個人のスキルに依存しない生産体制を築こうとしている。「ほとんどメディアに公開したことがなかった」(同社)という堺サイトの工夫を紹介する。

 堺サイトが位置するのは世界文化遺産の大山古墳(仁徳天皇陵古墳)のほど近く。もともとはミノルタのレンズ研磨工場としてスタートした拠点だ。現在はセンシング事業の製品を生産するとともに、近年買収したセンシング関連の海外企業を束ねている。

 生産するのは自動車の外装や内装の色合いを数値化する測色計や、ディスプレーの明るさの検査に使う輝度計など。15機種で全46のバリエーションがある。さらにその付属品は227品目にも及ぶ。月産数は少なく、1機種当たり数台~100台程度だ。少量多品種という製品の特性上、機械化・自動化が割に合わないこともあり、部品の配膳や組み立て作業など人による作業が多い。

堺サイトで生産する分光測色計
堺サイトで生産する分光測色計
自動車の外装塗装の色を正確に測定するデモンストレーションの様子。(写真:日経クロステック)
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 ただし、人が作業する場合でも、なるべく個人の技能に頼らない仕組みを整えている。例えば、部品棚から製品1台分の部品を取り出して1つのトレーに並べる配膳作業では、本来の部品番号とは別に各部品に2、3桁の番号を割り当てて、棚に表示した。本来の部品番号は10桁程度あり、読み間違える危険性があったが、桁数を減らして誰でも一目で識別できるようにした。

部品の入った棚
部品の入った棚
赤地に黒文字で書いてあるのが2,3桁の部品番号。トレー内の部品を入れる容器にも同じ番号を記載している。(写真:日経クロステック)
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 部品棚だけでなく、トレー内にある各部品を入れる容器にもこの番号を大きく記載している。さらに、正しく配膳したトレーの写真も用意した。担当者は配膳したトレーと、写真を見比べることで部品の取り違えなどにすぐ気づけるようになっている。

製品1台分の部品を配膳したトレー(写真左)と正しく部品を配膳したトレーの写真(同右下)
製品1台分の部品を配膳したトレー(写真左)と正しく部品を配膳したトレーの写真(同右下)
トレー内の容器に貼ってある色が付いたシールに記載された番号が、本来の部品番号とは別に割り振った2~3桁の番号。配膳が完了した実物のトレーと、トレーの写真を見比べて間違いがないか確認する。(写真:日経クロステック)
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 組み立て作業でもミスを防ぐ工夫がある。組み立て作業の注意点や締め付けトルクの大きさなどは、トレー内にある各部品を入れる容器に明示し、作業忘れなどを防止している。組み立て後はトレー内に部品が残っていないか確認。仮に残っていた場合は製品を分解して確認するルールとし、作業者の熟練度にかかわらず、品質を担保できるようにしている。

トレー内の容器には組み立て時の注意点を記載
トレー内の容器には組み立て時の注意点を記載
例えば写真左の容器には「仮締め」という注意書きがある。このトレーを反対方向から見ると、前述の部品ごとに割り振った2~3桁の番号が見える。(写真:日経クロステック)
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 組み立て作業者はタブレットを使って、作業の着完や不良などの情報を入力する。入力した情報は、サプライチェーン情報を一元管理するシステムと連携しており、すぐに全社の関係者に共有される。従来は紙で情報を管理していた。電子化することで、担当者間で個別に連絡を取る手間を減らせた。