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 蓄電池への関心が高まっています。蓄電池を単独で設置するスタンドアローン型のビジネスの登場に対応すべく、法制度の整備も進んでいます。また、再エネ発電設備への蓄電池の併設を積極的に後押しする制度変更も検討されています。
 そこで今回は、蓄電池ビジネスの進展に呼応した最近の法令改正から、さらなる蓄電池の導入に向けた今後の制度見直しの方向性を解説します。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

【質問1】 蓄電池に関して、2022年に電気事業法が改正されたと聞きました。何が変わったのでしょうか。

【回答1】 2022年の電気事業法改正で、単独で系統に連系するスタンドアローン型の蓄電池ビジネスの位置づけが明確になりました。改正前の電気事業法は、スタンドアローン型を想定しておらず、蓄電池は発電所や変電所、需要設備などを構成する電気設備の1つと整理していました。

 例えば、北海道エリアで再エネ発電設備を系統連系する際の条件として、蓄電池の併設が求められるケースがあります。実際、蓄電池を併設した太陽光・風力発電設備が複数、設置されていますが、この蓄電池は「発電設備を構成する設備」という位置づけです。

 ところが最近になって、発電所や変電所、需要設備などに併設するのではなく、大規模な蓄電池を単独で系統に接続するスタンドアローン型のビジネスが登場しました。スタンドアローン型の蓄電池は、放電によって系統に電力を供給する点では発電所と同じ機能を果たしますが、系統からの電力の供給を受けて充電するという点では需要家と同じ立場です。

 こうしたスタンドアローン型蓄電池は発電側にも需要側にも区分できず、電気事業法における位置づけが不明確なため、バランシンググループにおける扱いや、系統への接続の権利も明確ではありませんでした。この点を解決するため、蓄電池の電気事業法上の位置づけを見直す必要が生じていたのです。

 こうした経緯を経て、2022年の電気事業法改正は、大型蓄電池から放電を行う事業を発電事業に位置づけました。発電事業ですから、事業開始時には届出が必要となりました。また、近年に導入された撤退時の届出義務も課されます。また、大型蓄電池が系統接続する権利も認められ、蓄電池ビジネスの事業環境が整いました。

【質問2】 最近「蓄電所」という言葉を聞くようになったのですが、蓄電所とは何でしょうか。制度用語なのでしょうか。

【回答2】 「蓄電所」はスタンドアローン型の大型蓄電池に対して、保安規制を整備するために新たに定義した用語です。

 2022年9月現在、電気事業法の下にある保安制度では、蓄電池は「電力貯蔵装置」として、発電所や変電所、需要設備などを構成する設備と位置づけられています。発電所、変電所、需要設備などに関するそれぞれの規制が、付随的に蓄電池にも及ぶという立て付けです。これまで電気事業法がスタンドアローン型の蓄電池を想定していなかったためです。

 このため、前述の電気事業法の改正と同じく、保安制度でもスタンドアローン型の蓄電池の位置づけを明確にする必要が生じたのです。

 現在想定されている保安制度の改正においては、 発電設備や需要設備に接続する蓄電池については、これまでと同様に発電設備や需要設備の附帯設備として扱います。一方、スタンドアローン型の蓄電池に関しては、「蓄電所」という新たな類型を設けて保安規制を課す予定です。