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 オークマは、2023年4月以降に出荷する工作機械のほぼ全ての機種に、「Green-Smart Machine」という新しいエンブレムを付けて提供すると発表した。同エンブレムは、高い加工精度を安定して維持しつつ、冷却装置などの補機を自律制御して電力消費を抑えるといった、スマート(賢い)な機能を有する工作機械であることを示すもの。2023年4月以降に出荷する当該製品に図1のエンブレムを付け、加工時の二酸化炭素(CO2)削減を積極的に訴求していく(図2)。

 Green-Smart Machineを銘打つ目的は、製造業で加速するカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の潮流に対する備えにある。これまでに実装してきた消費電力の削減につながる技術を目に見える形で示し、CO2の排出量抑制に取り組む顧客に省エネ機能などを訴求する。

図1 Green-Smart Machineのエンブレムのイメージ
図1 Green-Smart Machineのエンブレムのイメージ
(出所:オークマ)
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図2 Green-Smart Machineのエンブレムをイメージしたシールを貼った工作機械
図2 Green-Smart Machineのエンブレムをイメージしたシールを貼った工作機械
2023年4月以降に発売する製品には、エンブレムを貼り付けて提供する。なお、実際にはもっと厚みのあるエンブレムとなる予定。(写真:日経クロステック)
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 Green-Smart Machineのエンブレムは、同社が既に実用化している「サーモフレンドリーコンセプト」と「ECO suite plus」の機能をいずれも搭載していることが貼付の条件となる。

 サーモフレンドリーコンセプトは、機械の熱変位に対して加工精度を維持する機能。通常、工作機械は周囲の温度変化や、加工時に発生する熱に起因して金属部品が熱変位すると、加工精度が低下する。そのため、高精度で加工したい場合は、空調によって室温を厳密に管理したり、冷却装置によって主軸などの熱変位を抑えたりする。サーモフレンドリーコンセプトは、この熱変位を考慮して加工条件を補正するもの。

 特徴は、機械の構造体の形状を左右対称にするなど、装置設計を工夫して熱変形の仕方を単純化し、周囲温度や主軸温度などの状態から熱変位量をより正確に予測できる設計とした点にある。予測した熱変位量を基に加工量を補正し、厳密な室温管理や主軸冷却がなくても高い加工精度を維持できる。始業前の暖機運転や昼休憩中のアイドリング稼働も要らなくなり、消費電力の削減につながる。同社はサーモフレンドリーコンセプトを2001年に実用化し、現在125機種に標準搭載している。

 もう1つのECO suite plusは、主に冷却装置などの補機類のアイドリングストップを自動で実行するシステム。サーモフレンドリーコンセプトの技術を応用して、加工精度を維持するのに最低限必要な補機類の稼働を自律制御する。「せっかくサーモフレンドリーコンセプトの機能を搭載した機種なのに、無駄な暖機運転やアイドリング運転をしている顧客も多い」(同社代表取締役社長の家城淳氏)実態を受けて開発したものだ。

 加えて、ECO suite plusは機械の消費電力から換算したCO2排出量を記録する機能も備える。グリーン調達の際に必要となるトレーサビリティーの管理に活用できる。

 同社の評価では、上記2つの機能の組み合わせにより、加工条件によっては3割ほどの消費電力を削減できるという(図3)。なお、同社の工作機械では既にほとんどの機種が同機能を搭載しており、「ごく一部の古い機種を除いて、99.9%を超える機種がGreen-Smart Machineの対象」(同社)となる。

図3 Green-Smart Machineによる消費電力の削減効果
図3 Green-Smart Machineによる消費電力の削減効果
中央の棒グラフはサーモフレンドリーコンセプトのみ、右はサーモフレンドリーコンセプトとECO suite plusを実装したときの消費電力。サーモフレンドリーコンセプトでは暖機運転中のモーターや補機類の運転を停止でき、未実装(左の棒グラフ)から消費電力を20%削減できる。さらにECO suite plus で段取り中のアイドリングストップによって同31%の削減を実現した。(出所:オークマの資料を日経クロステックが撮影)
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