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 「インドは今、(空調機)需要の爆発が起きている」──。ダイキン工業がインド市場における成長を加速させる。2025年の売上高を1000億ルピー(約1700億円、1ルピー=1.7円換算)超と、2021年の2倍以上に引き上げる(図1)。同社は過去10年ほどで同国での売り上げを約10倍に伸ばしたが、成長速度をさらに高める計画だ。

図1 ダイキン工業のインド市場における売上高の推移
図1 ダイキン工業のインド市場における売上高の推移
2025年に売り上げを2021年の2倍に増やし、1000億ルピー(約1700億円)超えを狙う。(出所:日経クロステック)
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 ダイキン工業は現在、インド市場における空調機のシェアで首位に立つ。業務用エアコンのシェアは6割を超えており、家庭用エアコンも18%と第1位。同社はトップシェアを維持したまま、インド市場の成長の波に乗る考えだ。

 インドの人口は14億人を超えており、2023年には中国を抜いて世界最大となる見込み。購買力も高まっている。一方で、空調機の普及率は5%前後と低く、今後の伸びが大きく期待できる。この経済成長を取り込むべく、ダイキン工業はインド南部アンドラプラデシュ州スリシティに第3工場を建設し、2023年8月から稼働させる。これにより、年間生産台数を現在の130万台から、2025年には250万~270万台へと2倍に増やす計画だ。

 現在稼働している工場は、インド北部ラジャスタン州ニムラナにある第1工場および第2工場で、生産能力は合計150万台/年(図2)。これが、第3工場が稼働した後は300万台/年になる見込みである。

図2 ニムラナ第2工場の家庭用エアコンの組み立てライン
図2 ニムラナ第2工場の家庭用エアコンの組み立てライン
最先端のモジュールラインを日本の工場よりも先に導入した。(写真:日経クロステック)
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アフリカや中東への輸出拠点に

 インドの空調機市場は、多数のグローバル企業とローカル企業がひしめく激戦区。ここで勝ち続けるために、ダイキン工業はインドだけではなく、アフリカおよび中東を巻き込んだ「一大市場」を想定する。人口はインドが先述の通り14億人以上、アフリカも約14億人、中東が約4億人であるため、30億人を超える規模の商圏となる。加えて、これらの市場では気候や顧客のニーズが比較的似通っているという。そこで、同社はこの巨大市場を取り組み、量産効果を生かしてコスト競争力を高めてボリュームゾーンを攻略する考えだ。

 この一大市場において、ダイキン工業はインドを生産拠点かつ輸出拠点と位置付ける。インドの各工場で生産した製品を同国の国内市場に供給するだけではなく、アフリカ市場や中東市場に輸出する。インド工場から製品を輸出している国は、2021年時点で30カ国に上るが、これを2025年には100カ国に増やす計画だ。同年の輸出台数は、インドの年間生産台数の20%程度、すなわち50万台前後を見込んでいる。