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 新潟県燕三条地域のKOUBA(工場、耕場、購場)を一斉に開放し、ものづくりの現場を見学・体験できる機会を提供するイベント「燕三条 工場(こうば)の祭典 2022」(主催・運営:「燕三条 工場の祭典」実行委員会、共催:燕三条地場産業振興センター・三条市・燕市)が、2022年10月7~9日に開催される。2020年はオンラインでの発信、2021年は工場跡での展覧会と、新型コロナウイルス禍による変則的な形式を経て、節目の第10回を迎えた今回は、3年ぶりの通常開催となる。これまで同祭典が果たしてきた役割や今後の展開について、実行委員会の山田立氏〔玉川堂(燕市)番頭〕と横山裕久氏〔side(三条市) 代表取締役〕に話を聞いた。

「燕三条 工場の祭典 2022」のメインビジュアル
「燕三条 工場の祭典 2022」のメインビジュアル
(出所:「燕三条 工場の祭典」実行委員会)
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 「燕三条 工場の祭典」は、金属加工の産地である三条市と燕市、その周辺地域のKOUBA(製品などを造る「工場」、農業などを営む「耕場」、工場・耕場でつくられたものを販売する「購場」)を公開し、地域内外からの見学者を受け入れるイベント。2013年に始まり、これまでに延べ5万6000人を動員してきた燕三条の秋の恒例行事である。実行委員会メンバーとして第1回から運営に当たってきたのが山田氏。横山氏は、第4~8回は三条市商工課の職員として、第9・10回は民間側の事務局として工場の祭典に携わっている。

地元住民でも必ずしも身近ではなかった工場

 その数3000とも4000とも言われるほど工場の多い燕三条地域だが、三条市で生まれ育った横山氏によると、一般の市民にとって工場は必ずしも身近な存在ではない。「学校の授業で燕三条が“ものづくりのまち”であると教わっても、なぜそう言われているのかまでは理解していない」(横山氏)という。

実行委員会の山田立氏(左)と横山裕久氏(右)
実行委員会の山田立氏(左)と横山裕久氏(右)
実行委員会の山田立氏(左)と横山裕久氏(右)
(写真:山田立氏、横山裕久氏)

 「私も、工場の祭典の担当になり、行く先々で真剣にものづくりに取り組む人たちの姿を見て初めて『地元にこんなにすごい工場があるんだ』と知りました。きっと、工場の祭典に訪れる見学者も同じだろうと想像し、担当者というよりも三条で生まれ育った人間として感じるものが多かった。そのすごさを伝えることが工場の祭典の役割だと実感しました」(同氏)

 工場の祭典の発足前も三条市では、メーカーや卸商による販売イベント「越後三条鍛冶まつり」が催されていた。工場の作業員らが外部のユーザーと接することのできる機会だったが、「ものづくりへの“こだわり”や、輸入品などと比べて高価格な理由を伝えきれない」(横山氏)という課題を抱えていたという。その解決を目指してリニューアルを検討した際、「造っている現場を見せればよいのでは」というアイデアが生まれた。その仕組みとして提案されたのが、工場見学のイベント化だ。この三条市側の動きに燕市側も合流し、工場の祭典が誕生した。

 こうして2013年、「お客さんが何人来てくれるか分からない、このやり方でいいか分からない手探りの状態」(山田氏)で始まった工場の祭典は、回を重ねるごとに広がりと盛り上がりを見せ、初回に54件だったKOUBAの数は、2019年(第7回)には133件に増加。見学者は、延べ5万6000人に上るまでになった。

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「燕三条 工場の祭典 2021」の風景
「燕三条 工場の祭典 2021」の風景
(写真:日経クロステック)
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