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新工場と既存工場に投資

 米国では太陽光発電設備の国内生産が飛躍しようとしている。

 8月30日に米太陽光パネルメーカーの大手であるファースト・ソーラー(First Solar)は、米国内の生産規模を拡大するために最高12億ドルを投資する計画を発表した。この投資により、同社による米国製太陽光パネルの年間生産能力が、2025年までに10GW以上に拡大すると予測されている。

 ファースト・ソーラーは、カドミウムテルル(CdTe) 型化合物系太陽電池を生産し、薄膜パネルの製造・販売で世界トップのメーカーである。同社は、現在米中西部オハイオ州ペリズバーグとレイクタウンシップに太陽光パネル工場を運営しており、これら2工場は現在、合計で年間2.4GWの生産能力がある(図1)。すでに同州では、同社で3番目となる、年産3.2GWのパネル工場を計画して建設が進んでおり、2023年前半に稼働が予定されている。今回さらに、最大10億ドルを投資し、米国南東部に完全に垂直統合された4番目の国内工場を建設すると公表した。こちらは年産3.5GWとなる。

図1●ファースト・ソーラーのオハイオ州の工場
図1●ファースト・ソーラーのオハイオ州の工場
(出所:First Solar)
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 加えて、同社は 1 億 8500 万ドルを投資して、オハイオ州の2つの既存工場の年間生産能力を0.6GWずつ 拡大して合計3.6GWに増強し、建設中の3番目の工場も年産能力を 当初計画の3.2GWから3.5GWに拡大する。 この生産計画の上方への見直しにより、オハイオ州の工場への総投資額は 30 億ドルを超え、2025 年までに3工場の年間総生産能力は7GWを超えることになる。新設する4番目の工場を加えると同社の米国内での生産能力は10GWを大きく上回る。