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 2022年10月4日朝に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際に、政府が市町村や国民に対して緊急情報を発する「全国瞬時警報システム(Jアラート)」が一部地域に誤って発信された。この問題を巡り政府は10月5日、システムの不具合が原因だったと明らかにした。過去にも動作不良や誤報を繰り返してきたJアラートの実効性を巡る議論が再燃しそうだ。

北朝鮮のミサイル通過を知らせるJアラートの画面。当初の配信では、対象地域に伊豆諸島や小笠原諸島といった東京都の島しょ部が含まれていた
北朝鮮のミサイル通過を知らせるJアラートの画面。当初の配信では、対象地域に伊豆諸島や小笠原諸島といった東京都の島しょ部が含まれていた
(写真:共同通信)
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 Jアラートは市町村の防災行政無線や携帯電話のエリアメール、緊急速報メールなどを使って、弾道ミサイルのほか津波や地震などの緊急情報を全国に伝えるシステム。Jアラートを管轄する総務省消防庁によると、10月4日午前7時22分のミサイル発射を受けて7時27分に北海道と東京都島しょ部、次いで7時29分には青森県と東京都島しょ部に向けて、相次ぎミサイル発射情報を発信した。

 ただ実際にミサイルが通過したのは青森県上空。伊豆諸島や小笠原諸島といった東京都島しょ部は警戒の必要がなく、これらの地域に対する発信は誤りだった。原因は、Jアラートを構成する内閣官房側のシステムに潜んでいた不具合だ。

 そもそも外国から武力攻撃を受けてJアラートを発動させる際には、対象地域や内容などの情報を内閣官房のシステムから消防庁の送信システムに送る仕組みになっている。そのうえで消防庁の送信システムが衛星回線やLGWAN(総合行政ネットワーク)を介して自治体のJアラート受信機に配信する。さらに自治体が防災行政無線やスマートフォンなどを通じて、対象地域の住民に緊急情報を伝えたり避難を呼びかけたりする。

 磯崎仁彦内閣官房副長官は10月5日の記者会見で「過去の訓練による送信先情報が本来消去されるべきところ、オペレーターの画面では確認できないシステム上の不具合により、消去されなかった」と説明した。これにより誤った対象地域情報が内閣府から消防庁の送信システムに送られ、「(Jアラートの)送信の必要がなかった東京都の島しょ部9町村を含めて送信されてしまった」(磯崎官房副長官)という。