LINEとみずほフィナンシャルグループが、2022年度中の開業を目指している新銀行の勘定系システムについて、韓国バンクウェアグローバルのパッケージソフトを採用し、開発を進めていることが明らかになった。当初は富士通とタッグを組んでいたが、プロジェクトの途上でバンクウェアグローバルに乗り換えた経緯がある。一体何があったのか。
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LINEとみずほは2018年11月、銀行業に参入すると表明し、関係当局の許認可などを前提に、2020年度中の開業を目指していた。しかし、両社は2021年2月に延期を表明し、現在は2022年度中の開業を目標に掲げる。一部で再延期もささやかれていたが、「引き続き2022年度中の開業を目指し、準備を進めている」(LINE)。
富士通とは2020年秋ごろに頓挫
開業時期がずれ込んだ理由の1つが、システム開発の遅れだ。当初は富士通が受注し、勘定系システムの開発を進めていた。
富士通の提案は2段構えだった。まずソニー銀行などで稼働実績があるシステムを提供する。そのうえで、ファーストユーザーのソニー銀行向けに富士通が開発中のパブリッククラウド上で動作する新システムをLINE新銀行にも横展開する想定だった。
しかし、2020年秋ごろに富士通とのプロジェクトは頓挫したという。銀行間送金を担う全銀システムとの接続に関わる追加機能開発に、想定以上のコストがかかる見通しになったことなどが理由とされる。「単に全銀システムに接続するだけでなく、そこに付加的な機能を入れようとしたことで、コストが膨らんだ」(関係者)。
時期 | 概要 |
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2018年11月 | LINEがみずほフィナンシャルグループと組んで銀行業に参入すると表明。2020年度中の開業を目指す |
2020年秋ごろ | 富士通と進めていた開発プロジェクトが頓挫 |
2021年2月 | 新銀行の開業時期を最大2年延期すると発表。LINE Financialとみずほ銀行が新銀行の準備会社に追加出資 |
2021年3月 | ZホールディングスとLINEが経営統合 |
2021年4月 | LINE Bank Taiwanが開業。韓国バンクウェアグローバルのパッケージを採用し、勘定系システムを構築 |
2022年7月 | 新銀行と全銀システムの接続を予定していたが、延期 |