全1504文字
PR

 LINEとみずほフィナンシャルグループが、2022年度中の開業を目指している新銀行の勘定系システムについて、韓国バンクウェアグローバルのパッケージソフトを採用し、開発を進めていることが明らかになった。当初は富士通とタッグを組んでいたが、プロジェクトの途上でバンクウェアグローバルに乗り換えた経緯がある。一体何があったのか。

関連記事: LINE新銀行の勘定系システムに韓国製パッケージ、富士通とは頓挫

 「全銀システム(全国銀行データ通信システム)との接続に関する追加機能開発にかかるコスト負担で折り合えなかったようだ」。LINE新銀行のシステムの実情に詳しいシステム開発会社幹部は、富士通が新銀行の勘定系システムの構築から手を引いた理由をこう解説する。

 LINEとみずほは2018年11月、銀行業に参入すると表明し、関係当局の許認可などを前提に、2020年度中の開業を目指していた。しかし、両社は2021年2月に延期を表明し、現在は2022年度中の開業を目標に掲げる。一部で再延期もささやかれていたが、「引き続き2022年度中の開業を目指し、準備を進めている」(LINE)。

LINEの出沢剛社長(左)とみずほフィナンシャルグループの岡部俊胤副社長(いずれも当時)
LINEの出沢剛社長(左)とみずほフィナンシャルグループの岡部俊胤副社長(いずれも当時)
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

富士通とは2020年秋ごろに頓挫

 開業時期がずれ込んだ理由の1つが、システム開発の遅れだ。当初は富士通が受注し、勘定系システムの開発を進めていた。

 富士通の提案は2段構えだった。まずソニー銀行などで稼働実績があるシステムを提供する。そのうえで、ファーストユーザーのソニー銀行向けに富士通が開発中のパブリッククラウド上で動作する新システムをLINE新銀行にも横展開する想定だった。

 しかし、2020年秋ごろに富士通とのプロジェクトは頓挫したという。銀行間送金を担う全銀システムとの接続に関わる追加機能開発に、想定以上のコストがかかる見通しになったことなどが理由とされる。「単に全銀システムに接続するだけでなく、そこに付加的な機能を入れようとしたことで、コストが膨らんだ」(関係者)。

LINE新銀行を巡る主な経緯
時期概要
2018年11月LINEがみずほフィナンシャルグループと組んで銀行業に参入すると表明。2020年度中の開業を目指す
2020年秋ごろ富士通と進めていた開発プロジェクトが頓挫
2021年2月新銀行の開業時期を最大2年延期すると発表。LINE Financialとみずほ銀行が新銀行の準備会社に追加出資
2021年3月ZホールディングスとLINEが経営統合
2021年4月LINE Bank Taiwanが開業。韓国バンクウェアグローバルのパッケージを採用し、勘定系システムを構築
2022年7月新銀行と全銀システムの接続を予定していたが、延期