マイクロ波帯の周波数の電磁波を利用した樹脂(プラスチック)リサイクル技術の研究開発が脚光を浴びている。従来法に比べて省エネルギーで、かつリサイクルが困難だった樹脂にも適用できるのが特徴である。2025年ごろの実用化を目標に各社が研究開発を進めている。
マイクロ波は、周波数が300M~300GHzの電磁波。現在は、主に電子レンジや携帯電話機で使われている。このマイクロ波を樹脂リサイクルに利用することで、対象物質を直接的かつ選択的に加熱できるので、エネルギー効率が高まる。樹脂を熱分解させる場合、リアクター(反応器)内部まで選択的にエネルギーを送れるので、加熱時間が短くなり、省エネにつながる。従来法ではリアクターの壁面側から加熱するため、熱分解まで時間がかかった。
マイクロ波技術によって、リサイクルできる樹脂の範囲も広がる。省エネによってエネルギーコストを低減できれば、従来は採算が合わないことを理由にリサイクルを見合わせてきた樹脂でも再利用の道が開ける。
例えば、耐熱性が高くて従来法では熱分解が難しかった樹脂でも、マイクロ波技術であれば高温に加熱できる。選択性の高さを応用すれば、分解が難しい樹脂複合材もリサイクルできる可能性がある。
実績豊富なマイクロ波化学
樹脂リサイクルをはじめ、化学分野におけるマイクロ波加熱の応用で実績を持つのは、2007年創業のマイクロ波化学だ。同社は現在、樹脂リサイクルへのマイクロ波応用に向けて新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発プロジェクトに参加。マイクロ波技術によって、従来の熱分解プロセスに比べて約50%の省エネ効果を実現することを目標に掲げている。