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 住友商事が治療用アプリの事業に本格的に乗り出した。同社はスタートアップ2社と共同でVR(仮想現実)を活用した小児の弱視患者向け治療用アプリの共同開発を始め、臨床研究用の製品が完成したと2022年9月に発表した。今後も、大学や企業などと連携しながら治療用アプリの事業を広げていく。最終的には自社での承認申請も目指す考えだ(図1)。

図1 住友商事における治療用アプリ分野の事業構想
図1 住友商事における治療用アプリ分野の事業構想
住友商事は治療用アプリを手掛けるスタートアップへの出資のほかにも、携わる内容を増やす。2022年9月にはスタートアップ2社とVRを活用した治療用アプリの共同開発を発表。今後は大学や企業などと連携して別の製品開発にも携わるほか、将来的には自社による承認申請も目指す。(出所:日経クロステック)
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 治療用アプリは、治験で効果や安全性を示して厚生労働省から承認を得たものを指す。ヘルスケアアプリと比較して開発に費用や時間がかかるため、参入障壁が高い。一方、承認を受けて保険適用されると、医療機関の医師が処方するアプリとして利用してもらえる。スタートアップ以外では製薬企業が治療用アプリの開発を手掛けるケースが多かった。

 今回住友商事は、順天堂大学発スタートアップのInnoJin(東京・文京)とVRアプリの開発などを手掛けるイマクリエイト(東京・品川)と共同で、治療用アプリの開発に取り組む。今後、臨床研究や治験などを実施し、InnoJinが2025年度中にプログラム医療機器として承認申請することを目指している。

 弱視とは、視力が発達せずに眼鏡をかけても十分には見えにくい状態を指す。小児の弱視患者に対する治療では、視力が良い方の目を専用のパッチで覆い、弱視の目を強制的に使うことで視力発達を促す方法がある。しかし、毎日数時間にわたり片目を覆うことを嫌がる小児が多く、途中で治療から離脱してしまう割合が高いという。また、医師が治療の実態を把握するのが難しいのも課題だった。

 今回開発する治療用アプリは、VR上で左右の目に異なる映像を表示し、片目を覆う治療と同等の治療効果を得ることを目指す(図2)。表示する映像にゲームの要素を取り入れて、楽しみながら治療に参加してもらう。また、アプリの使用時間が分かるため、医師が治療実態を把握できるようになり、治療計画の立案などに生かせる。

図2 開発するVRアプリのイメージ
図2 開発するVRアプリのイメージ
VR上で左右の目に異なる映像を表示し、片目を覆う治療と同等の治療効果を得ることを目指す。臨床研究用の製品として、VRゴーグルを装着しながらけん玉で遊ぶアプリを開発した。視力が良い方の目にはけん玉を透明にして見えにくい映像を表示し、弱視の目を使うことを促す。(出所:日経クロステック)
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