「がらがらですね」。アイシンがトヨタ自動車の小型SUV(多目的スポーツ車)「C-HR」のハイブリッド車(HEV)をベースに試作したクルマ(図1)のフロントフードを開けたときに、ついつい口から飛び出した言葉だ。
C-HRのエンジンなど、もともとのパワートレーンを取り外し、前輪車軸に電動アクスルを搭載した電気自動車(EV)である。搭載する電動アクスルは、アイシンとしては第3世代となる「eAxle(イーアクスル)」の試作品である(図2)。
この第3世代のeAxleは、アイシンが2027年の投入をターゲットに開発を進めているもので、同軸型の最高出力150kWのものである。同社では、2025年の投入をターゲットとする第2世代品の開発も進めている。同社の技術者によれば、「第3世代品は、第2世代品(最高出力150kWのフロント用とみられる)と比べて体積が半分くらい」に小型化を図っている(図3)。
同社が第1世代品とするのが、トヨタのEV「bZ4X」に採用したeAxleだ。アイシンがデンソーやBluE Nexus(愛知県安城市)と共同で開発した。同EVでは、フロントに最高出力150kW(前輪駆動車)または同80kW〔四輪駆動(4WD)車〕、リアに同80kW(4WD車)のeAxleを搭載する(図4、5)。
最高出力150kW(アイシンはミディアム向けとする)のフロント用の第2世代品では、その第1世代品に対して主に高効率化を図っているが、体積も多少小さくしている。第3世代品ではそこからさらに体積を半減した。