全2128文字
PR

 「がらがらですね」。アイシンがトヨタ自動車の小型SUV(多目的スポーツ車)「C-HR」のハイブリッド車(HEV)をベースに試作したクルマ(図1)のフロントフードを開けたときに、ついつい口から飛び出した言葉だ。

図1 アイシンがトヨタのC-HRをベースに試作した電気自動車(EV)
図1 アイシンがトヨタのC-HRをベースに試作した電気自動車(EV)
パワートレーンをアイシンの第3世代電動アクスル「eAxle」に置き換えた。(写真:アイシン)
[画像のクリックで拡大表示]

 C-HRのエンジンなど、もともとのパワートレーンを取り外し、前輪車軸に電動アクスルを搭載した電気自動車(EV)である。搭載する電動アクスルは、アイシンとしては第3世代となる「eAxle(イーアクスル)」の試作品である(図2)。

図2 アイシンが試作した第3世代eAxle(同軸型)のモックアップ
図2 アイシンが試作した第3世代eAxle(同軸型)のモックアップ
最高出力は150kW。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 この第3世代のeAxleは、アイシンが2027年の投入をターゲットに開発を進めているもので、同軸型の最高出力150kWのものである。同社では、2025年の投入をターゲットとする第2世代品の開発も進めている。同社の技術者によれば、「第3世代品は、第2世代品(最高出力150kWのフロント用とみられる)と比べて体積が半分くらい」に小型化を図っている(図3)。

図3 最高出力150kWの第2世代フロント用eAxleのモックアップ
図3 最高出力150kWの第2世代フロント用eAxleのモックアップ
同150kWのフロント用の第1世代品と比べて、主に高効率化を図っているが、体積も多少減らしたという。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社が第1世代品とするのが、トヨタのEV「bZ4X」に採用したeAxleだ。アイシンがデンソーやBluE Nexus(愛知県安城市)と共同で開発した。同EVでは、フロントに最高出力150kW(前輪駆動車)または同80kW〔四輪駆動(4WD)車〕、リアに同80kW(4WD車)のeAxleを搭載する(図4、5)。

図4 第1世代フロント用eAxleのカットモデル
図4 第1世代フロント用eAxleのカットモデル
最高出力は150kW。外形寸法は、前後410×幅492×高さ420mm。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
図5 第1世代リア用eAxleのカットモデル
図5 第1世代リア用eAxleのカットモデル
最高出力は80kW。外形寸法は、前後444×幅427×高さ303mm。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 最高出力150kW(アイシンはミディアム向けとする)のフロント用の第2世代品では、その第1世代品に対して主に高効率化を図っているが、体積も多少小さくしている。第3世代品ではそこからさらに体積を半減した。