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 京都大学、住友化学、鳥取大学は、独自に開発した高分子(ポリマー)系固体電解質を用いたフレキシブルでデンドライトフリーの2次電池を共同で開発し、その技術的詳細を福岡市で開催中の電池技術の学会「第63回 電池討論会」(2022年11月8~10日)で発表した(講演番号1C23)。

福岡市の「福岡国際会議場」と隣接する「福岡サンパレス」で開催
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福岡市の「福岡国際会議場」と隣接する「福岡サンパレス」で開催
(写真:日経クロステック)

 この電池は、正極に3元系Ni-Co-Mn(NCM)系材料、電解質に交互共重合シングルイオンコンダクター(SIC)ポリマー(pMISt-Li)など、負極に黒鉛によく似た結晶構造のリン(P)である黒リン(BP)とカーボン(C)の混合材料P/Cで構成する。

 pMISt-Liはポリマー系電解質としては、室温でのイオン伝導率が5.3×10-4S/cmと高く、しかも電解質中を移動可能な各種イオンのリチウム(Li)イオンの割合である輸率が0.9と高いことが特徴。「イオン伝導率は(セ氏約70度まで)加温すれば10-3S/cm台まで高まる」(発表者の京都大学の中本康介氏)。電解質がフレキシブルなことで、製造時にロール・ツー・ロール(R2R)を採用しやすくなるメリットもある。

 試作したのは60mm×60mmのパウチ型セルとコイン型セル(図1)。コイン型セルの重量エネルギー密度は227Wh/kg(セルケースと集電箔は含まない)、平均放電電圧は2.8Vである。市販のコイン型セルと比較可能な値は、227Wh/kgに0.8を乗じた181.6Wh/kgになるとする。

図1 開発した「安全で柔軟な固体電池」
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図1 開発した「安全で柔軟な固体電池」
パウチ型にする前とみられる60mm×60mmのセル(写真:京都大学)