電池向けの各種材料を提供する豊島製作所、工学院大学、ファインセラミックスセンター、電力中央研究所(電中研)は2022年11月8日、電池技術の学会「第63回 電池討論会」(2022年11月8~10日、福岡国際会議場など)で、直径18cmの薄い円盤状の大型全酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン電池を試作したと発表した(講演番号1C15、図1)。全固体電池は、村田製作所などが1辺1cm前後の小型電池を開発済みだが、今回の寸法は国内では初めて。「将来的には直径30cmが目標」(豊島製作所)という。ただし、現時点でのエネルギー密度は低い。
定置用蓄電池を想定
豊島製作所などが試作したのは、正極活物質にNa4Ni3(PO4)2P2O7 (NNPP) 、固体電解質にNa3.1Zr1.95Mg0.05Si2PO12 (NZMSP) 、負極活物質にNaTi2(PO4)3 (NTP) を用いた全固体Naイオン電池。
直径は180mm(18cm)を筆頭に、107mm、50mmなどさまざまな寸法のものを作製した。厚みは直径50mm品で3mmだという(図2)。
リチウム(Li)イオン電池ではなく、Naイオン電池にしたのは共同で開発を進める電中研が「想定する用途が定置用蓄電池であり、NaがLiに比べてはるかに安価で、しかもヤング率が低くて電極と電解質の界面抵抗値を下げやすい」(電中研)と考えたからのようだ。