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ラピダスは「2nm世代」半導体の国産化を目指す。左がラピダス社長の小池淳義氏、右が同会長の東哲郎氏(写真:日経クロステック)
ラピダスは「2nm世代」半導体の国産化を目指す。左がラピダス社長の小池淳義氏、右が同会長の東哲郎氏(写真:日経クロステック)
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 半導体新会社「Rapidus(ラピダス)」は2022年11月11日に開いた会見で、次世代半導体の国産化に向けた事業計画を発表した。高性能コンピューターやAI(人工知能)などに使う「2nm世代」と呼ぶ先端半導体の量産を2027年にも始める狙いだ。野心的な目標を掲げる一方で、技術的な課題や膨大な投資、半導体人材の不足など解決すべき点も多い。大型プロジェクトに業界ではさまざまな意見が飛び交う。

 ラピダスは米IBMなど先端半導体の関連技術を持つ企業と連携し、日本国内に量産体制を短期間で整えることを目指す。微細化に欠かせない「EUV(極端紫外線)露光装置」を日本で初めて導入するなど、これまで日本が遅れていたロジック半導体の開発を急ピッチで進める。先端半導体の試作ラインの立ち上げには2兆円、量産ラインには3兆円と大型の投資が必要になる見込みだ。

半導体の微細化に欠かせない「EUV(極端紫外線)露光装置」の内部(出所:オランダASML)
半導体の微細化に欠かせない「EUV(極端紫外線)露光装置」の内部(出所:オランダASML)
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 米Western Digital(ウエスタンデジタル)日本法人の元社長で、ラピダス社長の小池淳義氏は「2nmの技術は相当難しいが、IBMで先端半導体の研究をしてきたメンバーも多い。後れを取り戻して一気に加速するチャンスだ」と意気込みを語る。

ラピダス社長の小池淳義氏(写真:日経クロステック)
ラピダス社長の小池淳義氏(写真:日経クロステック)
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 日本ではかつて先端半導体の開発プロジェクトを国主導で複数立ち上げたが、事業を根付かせるには至らなかった。半導体製造装置大手の東京エレクトロン前社長で、ラピダス取締役会長の東哲郎氏は「『日の丸連合』では勝てない。成功させるには世界の技術を結集することが大事だ」とし、開かれた開発体制の重要性を強調する。

 半導体業界に詳しいアナリストからは、期待とともに事業化の難しさを指摘する声も聞かれた。英調査会社Omdia(オムディア)シニアコンサルティングディレクターの南川明氏は「このプロジェクトは実行すべきだが、実現には解決しなければならない課題も多い」と語る。

 半導体材料や装置のコンサルティングを手掛ける米AZ Supply Chain Solutions(AZサプライチェーン・ソリューションズ)の亀和田忠司氏も、「2nmは手段であって目的ではない。具体的な顧客や製品は何か、コスト競争力をどう担保するのか、お金を稼げなければ産業として成り立たない」と冷静に分析する。

 2氏の詳細なコメントは以下の通り。