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 経済産業省と国土交通省は10月27日、洋上風力発電の公募ルールを定めた「一般海域における占用公募制度の運用指針」の改訂版を公表しました。2021年12月に第1ラウンドと呼ばれる初回の着床式洋上風力3海域の公募結果が公表され、同一企業を代表とする企業連合が3海域を落札しました。その後、公募制度の見直しを求める声が大きくなり、政府は議論を重ね、10月28日に運用指針の改訂版を公表しました。
 第2ラウンドの「秋田県八峰町・能代市沖」の公募は、いったんは開始したものの、公募ルールの見直し議論を受けて中断するという異例の経過をたどりましたが、早ければ年内にも八峰町・能代市沖を含む4海域で公募を実施する予定です。そこで今回は、運用指針改訂版の主な変更点を解説します。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

【質問1】 洋上風力発電の公募ルールが変更されました。法律が変わったのでしょうか。

【回答1】 公募ルールの変更は、法律の改正ではなく、ガイドラインの変更です。一般海域と呼ばれる海域に設置する洋上風力発電は、原則として「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」、いわゆる「再エネ海域利用法」に従い、洋上風力発電のため海域を占用する事業者を公募により選定します。

 公募のルールは、再エネ海域利用法を頂点した階層構造になっており、特に「一般海域における占用公募制度の運用指針」というガイドラインが重要です。この運用指針を前提に、経済産業省と国土交通省が個別の海域を指定して、公募占用指針を定めます。公募参加者は、この公募占用指針に従い、入札価格を含む公募占用計画という提案を提出します。

 今回の制度変更は、海域ごとの公募占用指針の内容のレベルを超えて、占用公募制度運用指針で定めたルール自体を変更する大がかりなものとなりました。運用指針の改訂は、2022年7月から8月にかけてのパブリックコメント手続きを経て、10月27日に改訂版が公表されました。パブリックコメントには1000件を超える意見が寄せられ、当局からの回答資料は実に200ページに及びました。洋上風力発電ビジネスの関係者の関心の高さがうかがわれます。

 11月8日には、第2ラウンドと呼ばれる4海域の公募開始に向けて、公募占用指針の案が公表されました。この公募占用指針案に対する新たなパブリックコメントの手続きが始まっています。政府は早ければ2022年内にも第2ラウンドの公募を開始する予定です。

 ちなみに、第2ラウンドの4海域とは、「長崎県西海市江島沖」、「新潟県村上市及び胎内市沖」、「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」の3海域と、延期中の「秋田県八峰町及び能代市沖」の計4海域です。

【質問2】 公募ルールの主な変更点は何ですか。変更の概要を教えてください。

【回答2】 洋上風力発電の公募は、入札した価格による評価120点と、事業実現性という定性的な評価120点の合計240点で選定者が決まるという仕組みです。価格と事業実現性を1対1で組み合わせて評価するという仕組み自体は変わっていません。

 しかし、今回の公募ルールの変更では、後者の事業実現性評価を中心に多岐に渡る変更が加えられました。公募戦略上も重要な変更が含まれています。なかでも、落札制限の導入、事業実現性評価の点数補正、迅速性評価の導入、事業実現性評価の配点などの変更は、第2ラウンド公募における公募占用計画の作成に当たって、十分に考慮する必要があります。それ以外にも、知事意見を通じた地元意見の反映、ゼロプレミアム水準の導入、選定結果等の情報公開の充実といった変更もなされました。

 第2ラウンド公募を勝ち抜くためには、第1ラウンド公募とは大きく異なる戦略の立案が必要となるでしょう。