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 米航空宇宙局(NASA)は、2022年11月16日米東部時間午前1時47分(日本時間同日午後3時47分) 、国際協力有人月探査計画「アルテミス」に使用する巨大ロケット「SLS」(Space Launch System)の初号機を打ち上げた。打ち上げは成功し、搭載された有人宇宙船*1(ミッション名「アルテミス1」)は月を巡る軌道へと向かった。

*1 今回は無人で打ち上げた。
打ち上げに成功したSLS初号機
打ち上げに成功したSLS初号機
(写真:NASA)
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ケネディ宇宙センターの39B射点に姿を現したSLS初号機
ケネディ宇宙センターの39B射点に姿を現したSLS初号機
(写真:NASA)
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 同時にSLSに搭載された10機の超小型探査機も、月およびその周辺へと向かう軌道に向けた分離・放出に成功した。日本の探査機「OMOTENASHI」と「EQUULEUS」も含まれる。

エンジンとブースターなどスペースシャトルを継承

 SLSは、液体酸素と液体水素を推進剤に使う2段式の使い捨てロケットだ。打ち上げ初期の加速には機体側面に2基装備した固体ロケットブースター(SRB)も使用する。

 第1段の直径は8.4m。これはスペースシャトルの外部タンクと同じサイズだ。エンジンもスペースシャトルの主エンジンに使われたRS-25エンジンを4機装着している。第1段の横には2本のSRBを装着する。これはシャトル用SRBを延長して推力を増強したものだ。

 第2段は段階的に開発する計画であり、今回の初号機から3号機では「RL10」エンジンを1機使用する「暫定低温推進ステージ」(Interim Cryogenic Propulsion Stage:ICPS)を使用する。RL10は1950年代に開発され、以来延々と改良され続けている液体酸素・液体水素エンジンだ。この形態は「SLS ブロック1」と呼ばれる。「ブロック1」は、地球低軌道に95トンを打ち上げる能力を持つ。日本のH-IIAロケット(地球低軌道に10t)のおおよそ一桁上の規模のロケットだ。3号機まではこの「ブロック1」を使う。

 SLS2号機は、2024年に月に向けた有人飛行を、SLS3号機は2025年に米SpaceX(スペースX)が開発中の月着陸船「スターシップHLS」と共同で、1972年のアポロ17号以来の有人月着陸を実施する予定だ。

 SLS4号機以降は、「ブロック1B」「ブロック2」と段階的に打ち上げ能力を増強し、オリオン及び月探査の拠点となる有人宇宙ステーション「ルナゲートウェイ」の打ち上げに使用する。