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 トヨタ自動車が2022年11月16日に発表した次期「プリウス」は、ボディー骨格にホットスタンプ材(高張力鋼板の熱間プレス材)を使わずに、全方位(前面・側面・後面)の衝突安全に対応した(図1)。

プリウス
図1 次期「プリウス」
(写真:日経Automotive)
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 現行プリウス(以下、現行車)はボディー骨格の主要部品に、引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプ材を適用している。次期プリウス(以下、新型車)では、現行車でホットスタンプ材を使用しているすべての骨格部品を、1.5GPa級以下の高張力鋼板の冷間プレス材に変えた。

 新型車の骨格部品のうち、1.5GPa級ホットスタンプ材から1.5GPa級冷間プレス材に変えたのは、(1)フロントピラーのアウター材とインナー材(2)サイドシルの補強材(3)フロント・サイド・メンバーの支持部――の3つである(図2)。

冷間プレス材に変えた骨格部品
図2 ホットスタンプ材から冷間プレス材に変えた骨格部品
(出所:トヨタの画像を基に日経Automotiveが作成)
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 同社のボディー設計担当者によると、1.5GPa級冷間プレス材を適用したこれらの部品の製造コスト(素材コストを含む)は、「1.5GPa級ホットスタンプ材を使う部品とほとんど変わらない」と明かす。コストが下がらないにもかかわらず1.5GPa級冷間プレス材を使ったのは、「骨格部品の製造過程からの二酸化炭素(CO2)排出量を減らすため」(同担当者)である。

 日本の自動車メーカーは現在、厳しくなる世界の衝突安全基準に対応するため、ボディー骨格へのホットスタンプ材の適用を拡大している。骨格部品の製造工程におけるCO2排出量を減らすためにホットスタンプ材の使用をやめた今回のトヨタの決断は、他の自動車メーカーにも影響を与えそうだ。