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 NTTデータは2028年をめどに「銀行専用クラウド」を投入する。同社が手掛けるシステム共同化に参画する地方銀行向けに、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)のプライベートクラウドとその運用を一体で提供する。同社は複数のシステム共同化を手掛けており、その陣営ごとにばらつきがあったシステム基盤を集約することで、運営効率を高める。

 2022年11月18日に「統合バンキングクラウド」の提供に向けて検討を始めたと発表した。2028年ごろの提供開始を見込んでおり、まずは西日本シティ銀行や京都銀行など地銀13行が参加する「地銀共同センター」への適用を目指す。さらに、2030年ごろに横浜銀行が中心の「MEJAR」に適用し、第二地銀が多く参画する「STELLA CUBE」や「BeSTAcloud」への適用拡大も視野に入れる。

NTTデータが提供する「統合バンキングクラウド」のイメージ
NTTデータが提供する「統合バンキングクラウド」のイメージ
(出所:NTTデータの資料を基に日経クロステック作成)
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パブリッククラウドは現時点では想定せず

 統合バンキングクラウドは、データセンターからサーバーなどのハードウエア、OS、ミドルウエアまでを一体で提供するプライベートクラウドである。これに運用サービスも組み合わせて提供する。銀行の勘定系システムは高い可用性が求められることから、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)や米Microsoft(マイクロソフト)などのパブリッククラウドの利用は現時点で想定していない。

 NTTデータは地銀向けに主に4つの共同化システムを手掛けている。4陣営とも業務アプリケーションはNTTデータの勘定系パッケージである「BeSTA」を利用しているものの、ハードウエアなどにばらつきがあった。例えばMEJARはハードウエアに富士通のメインフレームを採用しているが、地銀共同センターとSTELLA CUBE、BeSTAcloudは日立製作所のメインフレームを使っている。データセンターも複数に分かれている。

NTTデータが手掛ける主な地銀共同化システム
(出所:NTTデータの資料を基に日経クロステック作成)
名称地銀共同センターMEJARSTELLA CUBEBeSTAcloud
事業主体NTTデータ銀行NTTデータNTTデータ
開始時期2004年1月2010年1月2011年10月2014年3月
採用数13行5行10行10行(あおぞら銀行を含む)
ハードウエア日立製作所のメインフレーム富士通のメインフレーム日立製作所のメインフレーム日立製作所のメインフレーム
共同化の範囲勘定系、外部接続、外国為替、融資、情報系、AML(アンチ・マネー・ロンダリング)、一体課税など勘定系、外部接続、外国為替、融資、情報系、AML、市場系、営業店(ソフト)など勘定系、外部接続、外国為替、融資、自行バッチ、電子帳票、AML、一体課税などスキーム単位で個別調整

 統合バンキングクラウドはミドルウエア層以下を統合し、NTTデータが運用と組み合わせて提供することで、運営コストを引き下げる。結果的に地銀側は負担コストが減るメリットがある。

 NTTデータの青柳雄一金融戦略本部金融事業推進部部長は「勘定系システムは『競争領域』ではなく『協調領域』となった。極力まとめることでコストを下げていくべきだ」と話す。富士通が撤退を表明するなどメインフレームの選択肢が狭まっている状況に手を打つ狙いもある。

 NTTデータは統合バンキングクラウドのハードウエアにメインフレームではなくオープン系サーバーを使う。従来メインフレームのミドルウエアが担ってきたオンライントランザクションやデータベースなどの制御機能は、NTTデータが開発中のミドルウエア「PITON(ピトン)」が受け皿となる。

 例えばPITONがトランザクションやジョブ、「センターカット」と呼ばれる口座振替の一括処理を制御したり、リソース管理をしたりする。統合バンキングクラウドの展開に当たって、PITONは要といえる。

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