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 あいおいニッセイ同和損害保険は米Microsoft(マイクロソフト)のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール「Power Automate」の利用を従業員に促すため、デジタルアダプション(以下、DA)ツールを応用した。RPAの操作方法の習得を2022年6月からDAで支援することにより、4カ月間で約1000人の従業員がRPAツールを新たに活用する成果を得た。

 手作業を自動化するRPAは働き方改革を推進する企業にとって有力なツールの1つだが、フロー(自動処理の手順)の作成が必要となる。社内に広く展開したい企業は、フローの作成を難しそうと感じる利用者の背中を押す工夫が欠かせない。あいおいニッセイ同和はDAツールが切り札になると見込んだ。

研修では不安な従業員の1歩目を後押し

 あいおいニッセイ同和は「受信した特定のメールを上司に自動で転送する」といった難易度が低く実用的なフローの作成を支援するため、テックタッチのDAツール「テックタッチ」で学習用教材を作成した。教材が案内する通りに操作すれば、ITに詳しくない従業員でもフローを一通り作成できる。

 DAを利用する以前の2022年5月時点では、RPAでフローを作成した経験がある従業員は1093人だった。同年6月にDAを使い始めると、10月には2202人と倍増した。利用者数の増加ペースも高まった。RPAを使う従業員が1000人近くに到達するまで約8カ月を要したが、DAツールの導入後はほぼ半分の期間で済んだ。

RPAのフローを作成した従業員数が2022年6月以降に倍増
RPAのフローを作成した従業員数が2022年6月以降に倍増
(出所:あいおいニッセイ同和損害保険の資料を基に日経クロステック作成)
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 同社はPower Automateを2021年8月に全面導入し、業務部門に積極的な利用を働きかけてきた。例えば、RPAを推進する業務プロセス改革部は、社内向けメールマガジンで仕事に役立つフローを紹介したり、座学による使い方の研修を開催したりした。

 ただ研修の参加者にヒアリングすると、「受講した内容を再現できるか不安だ」といった声が目立ったという。釣田貴司業務プロセス改革部ソリューション開発グループグループ長は、「さらに利用を促すには1歩目のハードルを下げる手段が必要」と考えた。そのための手段として、釣田グループ長はDAツールに注目した。