半導体製造関連で世界最大級の国際会議「International Electron Devices Meeting(IEDM) 2022」では、強誘電体メモリー(FeRAM)の技術発表が活況を呈した。とりわけ注目を集めたのは、米Intel(インテル)が発表した、ロジック混載DRAMの代替を狙ったHf(ハフニウム)ベースのFeRAMである(図1)。FeRAMは不揮発であるため、例えば、プロセッサーの混載DRAMを代替することで、処理のない場合に回路全体を休ませることができ、超省電力を実現できる。
FeRAMと言えば、数十年前から開発が続けられ、小容量の用途では製品化も進んでいる。ただし、強誘電体材料として主に用いられてきたPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などは、CMOSプロセスと互換ではないため、製造工程が複雑化するとともに、製造ラインのコンタミネーション(汚染)を懸念する向きが多く、ニッチな用途にとどまってきた。
これに対して、ハフニウム系の材料が強誘電性を示すことが2009年ごろに明らかになり、風向きが変わった。ハフニウム材料は、ロジックLSIのhigh-kゲート絶縁膜として既に使われており、300mmウエハー向けの成膜装置なども存在する。加えて、CMOSプロセスと互換であり、コンタミネーションの心配もない。