米航空宇宙局(NASA)が新開発の月ロケット「SLS」初号機で打ち上げた無人の「オリオン」宇宙船が無事帰還した。打ち上げは世界標準時2022年11月16日午前6時47分44秒(日本時間2022年11月16日午後3時47分44秒)、同11月25日に11時間36分の月往復飛行を終え、同12月11日午後5時40分(日本時間12日午前2時40分)太平洋・カリフォルニア半島沖合に無事着水した。その後、米海軍の揚陸艦「USSポートランド」によって無事回収された。
オリオン宇宙船は、NASAが進めている有人月探査計画「アルテミス」の最初のミッション「アルテミスI」として、打ち上げられた。世界標準時2022年11月21日に月の近傍を通過。月を周回しつつ最大で月から7万km離れる遠方逆行軌道(DRO:Distant Retrograde Orbit)に入った。同軌道で月を2周回した後、12月5日に再度月に最接近してDROを離脱。先述した通り、2022年12月11日に帰還した*1。
アルテミス計画はアメリカを中心に、欧州と日本、カナダが共同で進めている国際有人月探査計画。アルテミスIの主目的は月ロケット「SLS」の初打ち上げと、オリオン宇宙船の月往復飛行よる軌道上実証だ。この成功によってアルテミス計画の焦点は、2024年に予定している初の有人月飛行ミッション「アルテミスII」へと移行する。
アルテミスIIでは、オリオン宇宙船に4人の宇宙飛行士が搭乗して月周回飛行を行う。2025年の「アルテミスIII」で、アポロ計画以来半世紀ぶりの有人月着陸を予定している。1972年12月のアポロ17号以降、半世紀を経たがその間、月軌道まで行って帰還した有人宇宙船は存在しない。