プログラム医療機器として承認を受けたアプリ(治療用アプリ)を使い、心理療法実践のサポートを目指す動きが活発化している。サスメドが手掛ける不眠障害向けの治療用アプリが、早ければ2023年1月中にも正式に承認される見込みだ。承認されれば、CureApp(東京・中央)の禁煙や高血圧症を対象とした治療用アプリに続き、国内で3つ目の製品となる。
アプリで療法実践のハードルを下げる
サスメドの治療用アプリは、心理療法の1つである「認知行動療法」をサポートするものだ。不眠障害の治療に有用とされている療法である。認知行動療法では、自身の考え方や状況の捉え方、行動などの癖を把握してもらい、それを変えていく。専門の医療従事者との対話が必要だったり1回の実践に時間がかかったりするため、広く普及していないのが現状だった。治療用アプリを使うことでこうした手間を削減し、毎日自宅で実践できるようになる。
具体的には9週間の治療プログラムを受ける。治療開始1週目では、アプリを通じて睡眠衛生指導を受けるほか、睡眠表(睡眠日誌)に状況を記録。その後8週間、睡眠状況について振り返りなどを実施する。週1回は睡眠の質を評価するアテネ不眠尺度(AIS)のスコアを確認し、目標就寝時刻と目標起床時刻を再設定して取り組む。
認知行動療法を実践するハードルが下がれば、睡眠薬に頼りすぎない治療にもつながる。特に日本では睡眠薬の投与頻度の高さが問題になっているからだ。睡眠薬の処方量を適正化するため、2013年に「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」が公表された。ガイドラインは、「睡眠薬の処方頻度が高まる中、一部の患者でみられる長期服用時の依存や乱用が社会問題化している」と指摘する。
そこでサスメドは、睡眠薬への依存を減らした不眠障害の治療を目指し、認知行動療法をベースとした治療用アプリの開発に着手した。2022年2月に治療用アプリの承認申請を実施し、その後審査を受けて、2022年12月19日に開催された厚生労働省の審議会で承認について了承された。