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 ルネサス エレクトロニクスとフィックスターズは、ルネサスの車載SoC(System on a Chip)「R-Car」におけるAI(人工知能)/機械学習(以下、AI)処理の最適化に向けて、3つのソフトウエアツールを共同開発した ルネサスのニュースリリース フィックスターズのニュースリリース 。AIを使う自動運転やADAS(先進運転支援システム)の高度化や、ルネサスのR-Carユーザーのソフトウエア開発負荷軽減を狙う(図1)。

図1 3つのソフトウエアツールを開発
図1 3つのソフトウエアツールを開発
(画像:ルネサス エレクトロニクスとフィックスターズ)
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 ルネサスはソフトウエアファーストでクルマのE/E(電気/電子)開発を進めるために、「Unified development environment」と呼ぶ車載ソフトウエア開発環境の整備を進めている*1。この開発環境には複数の要素が含まれ、その1つに同社とフィックスターズが協業して提供中の「GENESIS for R-Car」がある。フィックスターズのクラウド上の半導体デバイス評価環境「GENESIS」をベースにしており、ルネサスユーザーは評価ボードなどの準備をすることなく、クラウドにアクセスするだけで、R-CarにおけるAI処理の効果を確認できる。

 GENESIS for R-Carでは、ResNetやMobileNetなどの汎用CNN(Convolutional Neural Network)モデルを使用して、サンプル画像をR-Car集積のCNNアクセラレーターで処理した実行時間と認識の精度を確認できる。また、評価したいR-Car製品とCNNモデルを選択することにより、実際の評価ボードをリモートで動作させて、画像分類や物体検出の評価結果を確認することも可能である。

 このGENESIS for R-CarはR-Car製品の選定に向けたものだが、今回両社が共同開発した3つのソフトウエアツールは、選んだR-Carに最適なDNN(Deep Neural Network)モデルの開発を狙ったものである。これら3つのツールを使うことで、ソフトウエア開発の初期段階において、R-CarのAI処理機能を生かした認識精度の高いDNNモデルを早期に開発できるという。これにより、開発の手戻りを低減し、開発サイクルの短縮が可能だとしている。第1弾として、3つのツールをルネサスの「R-Car V4H」*2に対応させ、2022年12月15日から提供を始めた。