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 日立Astemo(アステモ)は、複数の単眼カメラだけでクルマの全周囲を監視するセンサーシステムを開発した。ミリ波レーダーやLiDAR(レーザーレーダー)を使わないため、システムコストを抑えられるのが特徴だ。ステレオカメラの原理を応用した同社独自の技術で実現した。一般道における「レベル2+」の高度運転支援システムや、特定の条件下における一般道の「レベル3」の自動運転システムに向けたセンサーシステムとして、国内外の次期新型車(2028~2030年型)への採用を目指す。

 現在、レベル2+の高度運転支援システムや特定の条件下におけるレベル3の自動運転システムは、利用シーンが高速道路や自動車専用道路にとどまっている(図1)。これらのシステムを一般道でも利用できるようにするためには、車両や二輪車、自転車、歩行者などクルマの全周囲に存在する多くの対象物を確実に捉える必要がある。

レジェンド
図1 ホンダの旗艦セダン「レジェンド」
高速道路や自動車専用道路におけるレベル2+の高度運転支援機能やレベル3の自動運転機能を搭載する。(写真:ホンダ)
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カメラによる全周囲センシングが必要

 車両の周囲を監視するセンサーにはミリ波レーダーもある。ただ、ミリ波レーダーは対象物の存在と対象物までの距離は把握できるが、その対象物の種類(車両や自転車、歩行者など)を正確に認識するのは難しい。LiDARを使えば対象物の種類も判別できるが、コストが高い課題がある。

 一般道において、レベル2+の高度運転支援や一定の条件下でのレベル3の自動運転を実現するには、例えば交差点を左折する際の歩行者や自転車などの巻き込み防止、追い越し車線から幅寄せしてきた車両との衝突回避といった複雑な交通シーンに対応しなければならない。

 日立アステモ技術開発統括本部次世代モビリティ開発本部で自動運転技術開発部シニアダイレクターを務める村松彰二氏は、「交通環境が複雑な一般道では危険回避のために、カメラによる全周囲のセンシングが必要になる」と強調する。

 現在、ミリ波レーダーやLiDARよりもコストが安い単眼カメラを使って、クルマの全周囲をセンシングするシステムは実用化されている。「アラウンドビューシステム」がその代表例である。ただ、同システムでは単眼カメラを使って単眼視で対象物を検知するため、対象物までの距離の測定精度(測距精度)に限界がある。測距精度を高めようとすると、単眼カメラのコストが高くなる。