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東京工業大学で半導体研究に取り組む学生(写真:日経クロステック)
東京工業大学で半導体研究に取り組む学生(写真:日経クロステック)
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 引き合いが強まる半導体人材の育成に向けて、東京工業大学など国内外の研究機関や企業などが連携を強化している。エネルギー効率に優れる半導体デバイスの設計・製造に必要な要素技術を研究機関や企業が持ち寄り、幅広いスキルを習得できるようにする。大学生だけではなく、高等専門学校生や企業の技術者も対象とし、国内人材の育成や海外人材の呼び込みにつなげる。

 東工大と豊橋技術科学大学、広島大学の3大学が中心となり、電気自動車(EV)やXR(クロスリアリティー、仮想現実や拡張現実などの総称)、高速無線通信などの用途に向けた低消費電力の半導体技術を開発する。3大学が持つ半導体関連の技術や試作ラインを活用して実際に半導体を設計・製造することで、研究と人材育成を並行して進める。国内企業から受託した研究にも取り組み、ユースケースを開拓していく狙いだ。

「集積Green-niX(グリーンニクス)研究・人材育成拠点」プロジェクトの概要(出所:東京工業大学)
「集積Green-niX(グリーンニクス)研究・人材育成拠点」プロジェクトの概要(出所:東京工業大学)
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 3大学が主導するのは、日本の半導体産業再興を目指したプロジェクト「集積Green-niX(グリーンニクス)研究・人材育成拠点」。同プロジェクトには3大学のほか、複数の大学や産業技術総合研究所といった研究機関、国立高等専門学校機構などの教育研究機関が参加する。企業ではキオクシアやルネサスエレクトロニクス、ソニーグループ、日立製作所、米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)や米IBMなど、半導体産業の川上から川下まで国内外の企業が名を連ねる。

国内外の大学や企業が連携する(出所:東京工業大学)
国内外の大学や企業が連携する(出所:東京工業大学)
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 拠点リーダーを務める東工大教授の若林整氏は、「LSI(大規模集積回路)を開発するには、設計や製造の技術だけではなくシステム構成や情報通信、ユースケースまで理解する必要がある」と語る。半導体人材は幅広い技術に加えて、市場について深く理解し新市場を創り出す役割も期待されるようになるという。プロジェクトではこうした人材を「LSIイノベータ」と位置付け、幅広いスキルを積めるように大学間での単位互換や研修、企業連携などを通して育成する計画だ。

東京工業大学教授の若林整氏(写真:日経クロステック)
東京工業大学教授の若林整氏(写真:日経クロステック)
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 将来は、ベルギーimecなど海外の研究機関や大学との連携も強化する考えだ。拠点リーダーの若林氏は、「プロジェクトを魅力あるものにして、海外人材を日本に引き込めるようにしたい」と語る。東工大は、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)などに多くの卒業生を送り込む台湾の国立陽明交通大学とかねてより交換留学制度を結んでおり、留学生を受け入れている。こうした海外の若手人材が日本の半導体業界に注目し、留学や就職を目指してもらうことも重要だという。