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 コネクテッドとは、広義には通信によってインターネットや他者と接続されることである。例えば、つながるクルマ(コネクテッドカー)とは、インターネットと接続されたクルマや、V2X(Vehicle to Everything)通信によって接続されたクルマを指す。

コネクテッドの概要
コネクテッドの概要
(出所:日経クロステック)
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 通信でインターネットや他者と接続される利点は、インターネットを介して、あるいは接続された機器の間で有益な情報を共有・活用できることである。つながるクルマの場合、例えば車載センサーでは捉えられない遠くの危険や死角の状況を、V2X通信、すなわち車車間(Vehicle to Vehicle、V2V)、歩車間(Vehicle to Pedestrian、V2P)、路車間(Vehicle to Infrastructure、V2I)、クラウド-車両間(Vehicle to Network、V2N)で通信を行うことによって知ることができる。

 V2N通信を用いて、さまざまな車両の位置や車速、進行方向といったプローブ情報を吸い上げたり、車載センサーで取得した映像を吸い上げたりして分析すれば、車線別の渋滞状況や路上の落下物、事故の存在・発生箇所も把握できる。道路工事や交通規制、降雨情報といったクラウド上の情報を高精度3次元地図とひも付けて、V2N通信によってそれを更新できるようにしておけば、それらを考慮した経路計画も立てられるようになる。

 そればかりか、交通弱者(Vulnerable Road Users、VRU)への注意喚起、合流時の譲り合いなど、外部とのコミュニケーションが必要なケースにおいて、その手段として活用することもできる(図1)。

図1 歩行者端末への警報システムの一例
図1 歩行者端末への警報システムの一例
ホンダが2021年11月からソフトバンクと共同で実施した実証実験で使用した歩行者端末の画面。(写真:ホンダ)
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 すなわち、V2X通信が切り開く未来は、第1に「交通事故を極限まで減らして、誰もが行きたい場所に安心・安全・快適に移動できる社会」である。だが、実はそれだけではない。V2X通信から得られる交通関連データと、スマートフォンなど都市生活のインフラから得られる人流や嗜好といった生活関連データを組み合わせることで、利便性の高いさまざまなサービスを実現できる可能性がある。