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PDSは川原田氏が開発したダイヤモンド半導体の技術に基づいて試作デバイスの作製を目指す(写真:日経クロステック)
PDSは川原田氏が開発したダイヤモンド半導体の技術に基づいて試作デバイスの作製を目指す(写真:日経クロステック)
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 優れた物性から「究極のパワー半導体」と目されるダイヤモンド半導体の開発が加速している。早稲田大学発のスタートアップであるPower Diamond Systems(PDS、東京・新宿)は2025年ごろに試作デバイスを作製し、性能評価を始める予定だ。電力制御システムの小型化や高効率化が期待でき、自動車や鉄道、送電施設などで利用が見込まれる。開発競争が世界で熱を帯びるなか、デバイスのいち早い実用化を目指す。

 ダイヤモンド半導体は、現在普及が進む炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)に続く次世代パワー半導体として注目されている。高周波性能や高い放熱性、高電圧への耐久性など、パワー半導体として優れた特性を持つ。インバーターなど電力システムの小型化や電力損失の低減が可能になる。将来、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの送電システム、通信インフラや量子コンピューターなどへの採用が期待されている。

 PDSは、パワー半導体や高周波・高出力デバイス、それらを使ったインバーターなどの研究開発を手掛けるファブレス企業だ。早稲田大学教授でPDS取締役最高科学責任者(CSO)の川原田洋氏が開発した縦型ダイヤモンドトランジスタの作製技術などを基に試作デバイスを作製し、2025年ごろにも性能評価に取りかかる。パワー半導体として普及するのは2030年代以降になる見込みだ。