東京工業大学発スタートアップのつばめBHB(東京・中央)は、アンモニアの小型商用プラントの設立と実証に乗り出す。新潟県柏崎市に同社で初となる商用プラントを建設するほか、海外での再生可能エネルギーを活用したアンモニア製造を検討する。東工大が開発した触媒を使うことで温和な条件で製造できるようになる。需要地でのアンモニア製造事業を促進する。
つばめBHBは株主である第一実業と共同で新潟県柏崎市に小型プラントを建設し、2025年度中にもアンモニアを年間500トン製造できる体制を整える。天然ガスから造った水素をアンモニア製造に利用し、水素の製造時に生成する二酸化炭素(CO2)は地中に埋めることで温暖化ガスの排出を抑える。つばめBHBがアンモニア製造設備の設計や機器の調達を、第一実業がプラント建設のとりまとめをそれぞれ担う。
つばめBHBは2023年1月には、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)とアンモニア製造に向けた共同調査に入る契約を交わした。将来、UAEの再生可能エネルギーを利用して価格競争力のあるアンモニアを製造するのが目標だ。
アンモニアは、肥料やプラスチックの原料として世界中で利用されている。輸送や貯蔵が容易なうえ、燃やしてもCO2を出さないことから、近年はクリーンエネルギーとして注目されている。一方、現状のアンモニア製造には大規模な設備が必要になり、生産現場も限られるため、遠く離れた需要地へ輸送するのにコストがかかる。そのため、インフラが整っていない場所でも容易に設置・稼働できる小型プラントの引き合いが強まっている。