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 企業の経営層の99%がデジタルへの投資から効果を得ていると実感している――。KPMGコンサルティングは2023年1月26日、世界2200人の経営層への調査結果を公表した。「コロナ禍によって多くの企業が、事前に予定していなかったDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むことになった。十分に計画して投資したわけではないにもかかわらず、DXに投資した企業は大きな効果を得ている」。調査結果をこう分析するのはKPMGコンサルティング Technology Transformation Managementユニット統括の尹暢模パートナーだ。

 KPMGコンサルティングが公表した調査結果は「KPMGグローバルテクノロジーレポート2022」だ。世界2200人以上のCIO(最高情報責任者)といった経営層にインタビューし、デジタル化の現状と課題、デジタル化先進企業に見る特徴などを分析してまとめた。日本からも100人が回答した。

 多くの企業がデジタル投資の効果を実感している中、「特に高い効果を実感している企業には共通する7つの特徴があった」と尹パートナーは指摘する。KPMGコンサルティングは、そうした企業を「デジタル成熟企業」と呼んでいる。

 KPMGコンサルティングはデジタル成熟企業の明確な定義を明らかにしていないが、「過去2年間において、デジタルトランスフォーメーションは収益性や業績にどの程度プラスの影響を与えたか」という問いに、「11%以上増加があった」と回答した企業が条件の1つという。11%以上増加があったと回答した企業は世界で20%、日本の結果だけ見た場合22%あった。

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 KPMGコンサルティングが指摘するデジタル成熟企業の7つの特徴は以下の通りだ。

デジタル成熟企業の7つの特徴
デジタル成熟企業の7つの特徴
(出所:KPMGコンサルティング)
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 1つめは「組織間の風通しを良くするため、サイロ化を解消している」である。「風通しが良いということは、各企業のテクノロジーのリーダーが各部門のDXの要求を分かっていること」と尹パートナーは説明する。現場の意見を取り入れることで、IT投資の無駄を排除できる。

 2つめの特徴は、「人材不足の解決に自ら取り組んでいる」ことだ。調査では「デジタル技術の導入において企業が直面する課題」の1位が人材不足だった。尹パートナーは「人材獲得のエコシステムを構築するなど、デジタル成熟企業は独自のやり方で人材不足を解消している」と強調する。大学と連携するといった方法で社外人材を活用する仕組みを作ったり、社内人材を再教育したりすることで「デジタル成熟企業は人材確保に積極的に取り組んでいる」(尹パートナー)。