全2304文字
PR

部品生産にもインセンティブ

 同社の米国内での生産規模拡大は、2022年8月に米バイデン大統領によって導入された「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)」が強い追い風となっており、IRAには、太陽光発電の新設という需要側への刺激策だけにとどまらず、太陽光設備の供給側に対し、その国内生産を促すインセンティブも含まれている。

 具体的には、米国内でのクリーンエネルギー関連設備の生産をサポートするため、製造業者に対して連邦税額控除を導入した。「高度な製造業の生産税額控除(The Advanced Manufacturing Production Tax Credit:45X MPTC)」と呼ばれ、米国内で生産されたクリーンエネルギー設備のコンポーネント(部品)に税額控除が提供される。

 45X MPTCには、ポリシリコン(結晶シリコン)、ウエハー(基板)、セル(発電素子)、太陽光パネルなどが含まれている。メーカーが米国内でクリーンエネルギー関連設備を生産および販売する場合、これらを構成するコンポーネント単位に税額控除が認められ、連邦法人所得税に対して申告する。

 米国メーカーであるファースト・ソーラー(First Solar)は、2022年11月に、米国内で4カ所目の太陽光パネル工場にアラバマ州を選択したと、発表した。

 ファースト・ソーラーは、カドミウムテルル(CdTe) 型化合物系太陽光パネルを生産し、薄膜タイプの製造・販売で世界トップのメーカーである。同社は、約11億ドルを投資し、アラバマ州北部のローレンス郡にあるマラード フォックス工業団地に工場の建設を計画しており、年間生産能力は、3.5GWで、2025年までに稼働する予定である。