ホンダは2022年7月に発売したハイブリッド車(HEV)「シビックe:HEV」に新開発の「インテリジェント・パワー・ユニット(IPU)」を採用した。新型のリチウムイオン電池を使いIPUを小型化したのが特徴だ。併せて、IPUを搭載することで、低重心化を図り、走行性能を高めた。
シビックe:HEVのパワートレーンである「e:HEV」は、シリーズ・パラレル式のハイブリッド機構だ。基本的に街乗りなどの低・中速領域では、シリーズ方式と同様にエンジンで発電し、その電力を使いモーターのみで駆動する。高速域では、エンジンとモーターの両方で駆動する。
シビックe:HEVでは、このe:HEVに組み合わせるIPUを新開発した。IPUは後席の座面下に配置する。新型IPUの1番の特徴は、小型化に寄与する新型リチウムイオン電池を採用したことだ。従来のe:HEVが搭載する高さ85mmの電池セルに対し、新型は高さを65mmに抑えた。これにより、電池モジュールの全高を23mm低減できた。
加えて、電池モジュールの全高が抑制できたことにより、従来の上下2段配置から前後2列配置へと変更でき、IPUのユニットの高さを低減した。そのため、IPUのパッケージ全体の全高を抑えることで、シビックのガソリン車と同等の荷室容量を確保した。後席座面のクッション厚も従来機種以上を確保でき、後席の乗り心地の向上にも貢献している。
併せて、電池セルの搭載数を、シビックと同サイズのセダン「インサイト」より12個多い72個に増やした。これは上級車「アコード」と同数だ。一方で、EV走行距離は1kmから1.8kmと80%延ばした。加えて重量もインサイトのIPUから1kg低減した。これら、電池の小型化と性能向上によって、電池モジュールの重量当たりのエネルギー密度をインサイトの7.6Wh/kgから11.1Wh/kgへと46%高め、パッケージ効率を改善した。