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 GachacoとUber Eats Japan合同会社(ウーバーイーツ)は2023年2月2日、配車サービス車両のゼロエミッション化に向け、同年1月31日から3月31日までの約2カ月間、協業すると発表した。

 Gachacoは、ENEOSホールディングスと本田技研工業(ホンダ)、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機の5社が2022年3月に設立した企業。EVバイクなど向け電池の交換ステーションの開発や運営が主な業務だ。既に2022年秋から、交換ステーションの実運用を開始している。今回、全国8カ所めとなる交換ステーションと、ウーバーイーツがデリバリーサービス用に、この交換ステーションを利用する様子を報道陣に披露した。

 この交換ステーションは世田谷区駒沢2丁目3番1号にある「ENEOS MIRAIHUB」の敷地内にGachacoが設置したもの(図1)。ステーションの機器はホンダ製で、交換可能な電池のスロットは12スロット。1車両に2個の電池モジュールを利用するため、同時に交換できる電池モジュールは最多でも車両6台分である。

図1 世田谷区駒沢のENEOS MIRAIHUB
(写真:日経クロステック)
図1 世田谷区駒沢のENEOS MIRAIHUB
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 Gachacoによれば、これまで東京に6カ所、大阪に1カ所の交換ステーションを設置し、運用を始めている。この8カ所めの交換ステーションでも、既にシェアサイクルやシェアバイクサービス「HELLO MOBILITY」を提供しているOpenStreetなどがデリバリーサービスを想定した電池交換対応EVスクーターを数台置いている。

まずは10台でフードデリバリー

 今回、ウーバーイーツが利用する3輪のEVバイクはホンダ製の「GYRO CANOPY e:」。この車両は、ホンダモビリティーソリューションズがウーバーの配達員向けに特別に1台1円で、計10台提供したレンタル品だという。

 ウーバーイーツは、まずはこの10台のEVバイクと電池交換サービスを、東京城南エリア(港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区)において試用してみる算段だとする。その後は、「中長期的に計画を立てていく」(Uber Japan 事業開発部門 本部長の安承俊(Seungjun Ahn)氏)として、現時点での具体的な言及を避けた(図2)。

図2 Gachaco CEOの渡辺氏(左)とUber Japan 事業開発部門 本部長の安氏(右)
(写真:日経クロステック)
図2 Gachaco CEOの渡辺氏(左)とUber Japan 事業開発部門 本部長の安氏(右)
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交換作業は約1分

 この交換ステーションを利用するには、まず、Gachacoが利用者に提供する認証用キーで、ステーションの指定の場所にタッチする(図3)。

 その後、これまで利用していた電池モジュール2個を車両から引き抜いて、空いているスロットに差し込む。すると、今度は、新たに利用可能な電池モジュールのスロットが光るため、そこから電池モジュールを引き抜いて、車両に装着する。認証キーのタッチから車両装着までは約1分で完了する。ただし、電池モジュールは1本で10.4kgとやや重く、力自慢の人以外は、装着に両手が必要になる(図4)。

図3 ウーバーイーツの配達員が電池交換する手順
まずは車両から電池を外して交換ステーションに近づく(a)、次に認証キーで交換ステーションにタッチ(b)、空いているスロットに利用済みの電池を入れ(c)、交換ステーションが示した2つのスロットから新しい電池を引き抜く(d)、車両に装着して(e)、次のデリバリーに出発(f)(写真:日経クロステック)
(a)利用済み電池を外す
(a)利用済み電池を外す
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(b)認証キー
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(c)利用済み電池を返却
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(d)新しい電池の取り出し
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(e)電池を車両に装着
(e)電池を車両に装着
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(f)出発
(f)出発
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図4 電池モジュールの容量は1本で1.494kWh
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図4 電池モジュールの容量は1本で1.494kWh
重さは10.4kg(写真:日経クロステック)