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ダイキン工業がコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)活動を世界で強化している。スタートアップへの出資を通じて、イノベーションの創出や新たなビジネスモデルの確立を目指す。海外売上高比率が8割にのぼるグローバル空調メーカーとして、海外での事業展開や有望技術の獲得にもつなげたい考えだ。
ダイキン工業は、協創拠点であるテクノロジー・イノベーションセンター(TIC)内に、CVC活動を推進するCVC室を2019年に設立した。2024年までの出資枠として110億円を用意し、現在までの3年間で20社以上のスタートアップに50億円以上を出資している。海外拠点やベンチャーキャピタル(VC)を活用し、海外スタートアップの探索も活発化している。
2023年1月に開催したCVC説明会でTIC副センター長兼CVC室長の三谷太郎氏は、ダイキン工業のCVC活動について「粘り強く協業し、信頼関係を重視すること」を特徴に挙げた。具体的には出資するだけでなく、特許出願の事前調査や海外での権利取得など、人手不足のスタートアップ企業が苦労する知財ポートフォリオの構築を支援して、事業化に貢献しているという。
ダイキン工業のCVC活動では6カ月で30件の出願を達成できたという。技術開発に専念できることから、スタートアップからは好評だ。一方、事業化して利益を出せるようになるまでには時間がかかる。ダイキン工業常務執行役員兼TICセンター長の米田裕二氏は、「CVCをいかにローリスク・ハイリターンにするかが重要になる」と語る。