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 欧州のハイブリッド車人気が鮮明となった。2017年から2022年までの5年間で、新車販売に占めるハイブリッド車の比率は29.2ポイントも増加した。一方で電気自動車(EV)は10.6ポイントの増加にとどまった。欧州は「EVシフト」を推すものの、現実は「ハイブリッドシフト」が進んでいる。

この5年間における車種別の新車販売比率
この5年間における車種別の新車販売比率
ハイブリッド車(HEV+PHEV)の伸びがEVのそれを大きく上回っており、「ハイブリッドシフト」が進んでいる。ただし、PHEVは2017~2019年はEVに分類されている。(出所:ACEAのデータを基に日経クロステックが作成した)
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 ここではハイブリッド車にプラグインハイブリッド車(PHEV)を加えた。駆動源としてエンジンとモーターを備えている上に、構造的に似通っているからだ。すなわち、いわゆるHEV(ストロングハイブリッド車とマイルドハイブリッド車)とPHEVを合計したものをハイブリッド車と定義した。

 ただし、欧州自動車工業会(ACEA)が2019年までPHEVをEVに加えて「ECV(外部充電可能車)」に分類していたため、ここで示したEVのデータは2017~2019年はEV+PHEV、2020~2022年はEVだけとなっている。

 現在欧州は2035年までに全ての新車をゼロエミッションとする方針を掲げていることから、先の通り、ここではエンジンを搭載したPHEVをハイブリッド車に組み込んだ。従って、ハイブリッド車は2017~2019年まではHEVのみ、2020~2022年はHEV+PHEVとなっている。

2022年までは欧州のEVシフトは「不発」

 2017年に1.5%に過ぎなかったEVは、2022年には12.1%まで比率を高めている。だが、ハイブリッド車の伸びにはかなわない。2017年に2.8%にとどまっていたハイブリッド車は、2022年には32.0%まで急伸した。売れているクルマの3台に1台がハイブリッド車になる計算だ。足元の1年間の勢いもハイブリッド車に軍配が上がる。ハイブリッド車が3.5ポイント増と、EVの3.0ポイント増をわずかながら上回っているからだ。

 EVの販売は高額の補助金に支えられている面があることも踏まえると、少なくともここ5年間は欧州が期待するほどのEVシフトは起きなかったと言わざるを得ない。