米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)系の自動運転技術開発会社である米GM Cruise(GMクルーズ)は、米サンフランシスコにおいて、無人運転の車両で送迎する有料のロボタクシーサービスを提供している。記者が実際に乗車してみると、タクシーやライドシェアと同じ感覚で利用できた。現在は限定的な運用にとどまっているが、ロボタクシーの可能性を大いに感じた。
GMは約10年後にGMクルーズの売上高が500億ドル(約6兆7000億円)に達する可能性があるとして、ロボタクシーに注力している。カリフォルニア州、特にサンフランシスコを中心に自動運転車による公道試験を長らく実施してきた。
サービス化に踏み切ったのは2022年である。公道試験とは別に、これまで社員や関係者向けに提供してきたテストドライバーなしの自動運転車による送迎を同年2月から一般向けに拡大した。6月には、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)がGMクルーズに対してロボタクシー事業の免許の交付を可決した。これにより、サンフランシスコの一部地域で、午後10時から翌日午前6時までと限られた営業時間だが、一般客を対象とする有料ロボタクシーサービスの提供が可能になった。車両は、GMの小型電気自動車(EV)「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」を改造したものだ。
治安が悪化しているサンフランシスコの深夜から早朝までの時間帯は人通りが少なく、利益が出るかは疑問である。本命は日中の時間帯だろう。ただし、地域や国が変わってくれば、深夜から早朝までの時間帯でも商機はありそうだ。例えば、日本である。日本では、終電直前や終電後のタクシー利用が多い。「日本の深夜タクシーをロボタクシーに置き換えるだけでも、大きなビジネスチャンス」(GMクルーズの社員)だという。
現時点では、営業している車両数も限られている。CPUCが免許交付を可決した段階では30台にとどまっており、現在もあまり増えていないとみられる。そのため、誰でもすぐに利用できるわけではなく、GMクルーズのWebサイトなどを通じて利用を申請する必要がある。記者はサービス化直後の2022年2月に申請したところ、同年12月にようやく利用可能の通知が来た。そして2023年1月上旬、深夜のサンフランシスコ市街で乗車した。