IBMブランドを前面に出さないパートナーをむしろ優遇する――。日本IBMは2023年7月から新たなパートナー施策「IBM Partner Plus」を本格的に開始する。「パートナーとの協業をより推進するための刷新」と日本IBMパートナー・アライアンス&デジタル・セールス事業本部長の三浦美穂専務執行役員は説明する。
IBMが新施策で注力するのが、IBMの製品やサービスを自社製品の一部として組み込んで販売するパートナーの支援だ。IBMは組み込み型の製品を開発・販売するパートナーを「Build」と呼んでいる。「Buildパートナーを優遇するのは、『Buildパートナーになってほしい』というIBMからのメッセージだ」と三浦専務執行役員は強調する。
米IBMは2021年にパートナーエコシステムの構築に10億ドルを投資すると宣言。パートナーを、再販を中心とした「Sell」、システム導入を支援する「Service」、そしてBuildの3種類に分類し、それぞれの領域に応じた支援策を展開してきた。今回のPartner Plusは「これまでの施策についてのパートナーからの不満を踏まえて策定したもの」と三浦専務執行役員は説明する。これまでの制度に対してパートナーからは「ルールや手続きが煩雑」「収益性が低い」といった不満が出ていたという。
組み込み型パートナーのランクアップを優遇
新たに開始するPartner Plusは、(1)パートナーとの取引の容易化、(2)報奨金制度などの簡素化・明確化、(3)パートナーとの技術共創の強化、(4)パートナーの案件創出への貢献、の大きく4種類の施策からなる。対象はIBMのサーバーやソフトウエアなどを販売したり、システム構築を支援したりするパートナーも含めたすべてのパートナーだ。
パートナーとの取引の容易化や報奨金制度の簡素化・明確化では、パートナーに提供する情報を一元化するポータルサイト「IBM Partner Portal」を用意する。IBM Partner Portalを通じてパートナーとIBMで営業情報を共有するほか、パートナーがIBMから支払われる報奨金などを確認できるようにする。
報奨金制度の簡素化・明確化はハードウエアとソフトウエアの制度を統一するほか、IBMが戦略的と位置づけた製品やサービスを販売したパートナーへの報奨金を手厚くする。案件創出の支援ではパートナーのマーケティング活動を支援するための資金負担などを実施する。
そして最も力を入れるのは、(3)パートナーとの技術共創の強化だ。Buildパートナーを中心に、「IBMの技術を組み込んで付加価値を出すパートナーに対して、IBMが手厚く支援していく」(三浦専務執行役員)。