「生成AI(人工知能)」の活躍の場がさまざまなビジネスに広がっている。急速な進化に伴い、アニメやゲーム、音楽の制作といったクリエーティブ(創作)分野だけではなく、製造業のロボット制御などでも検討が進む。生成AIは人手不足に苦しむ現場の救世主として期待が高まっている。その一方で、人が取り組むべき仕事の見極めも強く求められそうだ。
生成AI(ジェネレーティブAI)とは、テキストや画像、音声、プログラムコードなどを出力するもの。これまで技術者や開発者といった専門家などで注目されてきたが、ここに来てチャットボット(対話AI)「ChatGPT」や、画像生成AIで「Stable Diffusion」「Midjourney」が話題となった。
これらの生成AIは2022年に登場したものだが、以前も生成AIの性能は飛躍的に向上し続けてきた。そしていよいよ、クリエーティブ分野で画像生成AIの商用化が始まりつつある。
1枚のイラストから多様な表情
先行するのは、一般ユーザー向けのアプリだ。ディー・エヌ・エー(DeNA)傘下のIRIAM(イリアム、東京・渋谷)は、キャラ配信アプリ「IRIAM」にPreferred Networks(プリファード・ネットワークス、PFN、東京・千代田)の生成AI技術を利用した。
IRIAMでは、1枚のキャラクターのイラストを基に、アプリがそのキャラクターの表情を自動で生成する。自分が用意したオリジナルキャラクターのイラストがあれば、簡単にキャラクター動画配信者になれる。
PFNのAIによる「自動キャラモデリング技術」により、さまざまなキャラクターの表情を自動で生成できるようになった。2021年時点で、生成時間は約10秒と短く、ファイルサイズは約1Mバイトと小さい。従来の手作業によるモデリングでは、生成に60分以上かかり、ファイルサイズも100Mバイト以上と大きかった。