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ネットフリックスはアニメ「犬と少年」の背景画制作に生成AIを試験的に利用した(写真:日経クロステック)
ネットフリックスはアニメ「犬と少年」の背景画制作に生成AIを試験的に利用した(写真:日経クロステック)
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 「生成AI(人工知能)」の活躍の場がさまざまなビジネスに広がっている。急速な進化に伴い、アニメやゲーム、音楽の制作といったクリエーティブ(創作)分野だけではなく、製造業のロボット制御などでも検討が進む。生成AIは人手不足に苦しむ現場の救世主として期待が高まっている。その一方で、人が取り組むべき仕事の見極めも強く求められそうだ。

 生成AI(ジェネレーティブAI)とは、テキストや画像、音声、プログラムコードなどを出力するもの。これまで技術者や開発者といった専門家などで注目されてきたが、ここに来てチャットボット(対話AI)「ChatGPT」や、画像生成AIで「Stable Diffusion」「Midjourney」が話題となった。

 これらの生成AIは2022年に登場したものだが、以前も生成AIの性能は飛躍的に向上し続けてきた。そしていよいよ、クリエーティブ分野で画像生成AIの商用化が始まりつつある。

クリエーティブ分野や製造業で生成AIの活用が進んでいる(出所:各社の発表を基に日経クロステックが作成)
クリエーティブ分野や製造業で生成AIの活用が進んでいる(出所:各社の発表を基に日経クロステックが作成)
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1枚のイラストから多様な表情

 先行するのは、一般ユーザー向けのアプリだ。ディー・エヌ・エー(DeNA)傘下のIRIAM(イリアム、東京・渋谷)は、キャラ配信アプリ「IRIAM」にPreferred Networks(プリファード・ネットワークス、PFN、東京・千代田)の生成AI技術を利用した。

キャラ配信アプリ「IRIAM」にPFNのAI技術を採用し、キャラクターの表情の変化を自動で生成できるようにした(出所:IRIAM)
キャラ配信アプリ「IRIAM」にPFNのAI技術を採用し、キャラクターの表情の変化を自動で生成できるようにした(出所:IRIAM)
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 IRIAMでは、1枚のキャラクターのイラストを基に、アプリがそのキャラクターの表情を自動で生成する。自分が用意したオリジナルキャラクターのイラストがあれば、簡単にキャラクター動画配信者になれる。

 PFNのAIによる「自動キャラモデリング技術」により、さまざまなキャラクターの表情を自動で生成できるようになった。2021年時点で、生成時間は約10秒と短く、ファイルサイズは約1Mバイトと小さい。従来の手作業によるモデリングでは、生成に60分以上かかり、ファイルサイズも100Mバイト以上と大きかった。