野村総合研究所(NRI)は2024年夏をめどに、銀行業務を担う勘定系システムについて、クラウド上で動作する新たなサービスを投入する。機能を絞った「軽量」な仕組みとし、競合他社よりも安価に提供できるようにする。勘定系システム市場は既に大手ITベンダーがひしめいている。なぜNRIはこのタイミングでレッドオーシャン(苛烈な市場)に飛び込むのか。
BIPROGYのパッケージを活用
NRIが投入するのは、クラウド型の軽量勘定系システムと位置付ける「NRI BaaS/CORE」だ。自社ブランドで提供する初の勘定系システムになる。
BaaS/COREはBIPROGY(旧日本ユニシス)のオープン勘定系パッケージである「BANKSTAR」を活用している。そこに、NRIがパブリッククラウドに対応したり、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由でデータをやり取りしたりできる機能を追加した。
動作させるクラウドサービスの第1候補は米Microsoft(マイクロソフト)の「Microsoft Azure」だ。BANKSTARはOSにWindowsを採用しており、Azureと親和性が高いからだ。
加えて動作プラットフォームとして米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)の「Amazon Web Services(AWS)」も視野に入れている。NRIは過去に国内のインターネット専業銀行向けに、AWS上でBANKSTARの稼働検証をした実績がある。さらにNRIは顧客の事業規模やニーズを踏まえてプライベートクラウド形態での提供も想定している。
他システムとの連携を担うAPIについては、普通預金の残高照会や入出金、振り込み、CIF(カスタマー・インフォメーション・ファイル)による顧客情報照会など100種類程度を用意する方針だ。これらのAPIは「内部API」という位置付けで、周辺系システムがBaaS/COREの各種機能を「部品」として利用できるようになる。