米ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)が今月発表したレポートによると、米カリフォルニア州の新築住宅における太陽光発電の搭載率は、2018~19年に約40%に達した。一方で、比較可能な データのある他州の平均搭載率は0.5%に満たないほど低い水準となっている(図1)。搭載率で2位のアリゾナ州でも約4%とカリフォルニア州の約10分の1に過ぎず、新築住宅への太陽光設置ではカリフォルニア州が群を抜いている。
このレポートは、「ソーラーから始める:新築住宅におけるソーラーエネルギーシステムの予備的評価」と題し、主にカリフォルニア州、そして他の18州における新築住宅における太陽光発電設備の搭載状況について、2007年から2020年までの50万件以上の新築住宅を調査・分析し、まとめたものである。
新築住宅への太陽光設置で、カリフォルニア州がここまで突出した搭載率となっている背景には、何があるのだろうか?
カリフォルニア州では2020年1月から、新築住宅に太陽光発電を導入する新しい規制が始まった。2018年5月に同州が承認したものだ。これは全米で初めての州政府による「新築住宅への太陽光発電設置の義務化」となる。
実は、この「義務化」より以前に、すでにカリフォルニア州は新築住宅用に太陽光を導入するインセンティブ制度を採用している。
同州は、2007年から2016年の10年間にわたり、カリフォルニア・ソーラー・イニシアチブ(California Solar Initiative: CSI) を立ち上げた。これは、3GW導入を目標とした米国で最大規模の分散型太陽光発電に関する導入政策である。新築住宅への太陽光発電の導入を促すために、CSIの一部として、ニュー・ソーラー・ホーム・パートナーシップ(New Solar Homes Partnership :NSHP)プログラムがつくられた。
ちなみに、CSIは既存住宅のホームオーナー、そしてNSHPは、住宅建設業者に補助金が支払われた。このレポートの筆者で、LBNLのリサーチサイエンティストであるベン・ホーエン氏によると、W当たり0.50~1.25米ドルの補助金がプログラム期間中に支払われた。
NSHPを管轄したカリフォルニア・エネルギー委員会(CEC)によると、2021年12月31日までに300MW以上の太陽光発電がこのプログラムによって設置された。
ホーエン氏は、カリフォルニア州のNSHPを除き、新築住宅に太陽光発電導入を促進するインセンティブ政策は他には存在しなかったという。このことから、インセンティブ政策を巡るカリフォルニア州のユニークな取り組みによって、新築住宅への高い搭載率が説明できる。