ジェーシービー(JCB)が法人カードの利用明細を活用した脱炭素化支援に乗り出した。2023年1月26日、「法人向けグリーンフィンテック」を開始。個人向けにはクレディセゾンが2022年6月から同様のサービスを提供しているが、法人カードでは国内初となる。
「経費精算の簡略化や内部統制の強化といった法人カードの利点に、CO2排出量の可視化という付加価値を上乗せして他社との差異化を図る」。JCB営業開発グループの出居潤也氏は、サービス投入の意図をこう話す。東京証券取引所は2022年4月に、プライム市場の上場企業に対して気候関連財務情報の開示を要請している。JCBは同サービスをてこに、法人カード分野で先行する三井住友カードなど競合他社を追撃する。
新サービスはCO2の可視化サービスを手掛ける、三井物産の子会社であるe-dashとの連携で実現した。e-dashのサービスは、あらかじめ設定したロジックに基づいて最新の国際基準に基づく排出量の算出を自動化できるのが特徴。これまでCO2排出量の計算方法は、各社が自ら調べる必要があった。データを一元管理することで、環境報告書の作成や外部への情報開示といった業務の負荷も減らせる。クラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」で構築している。
八十二銀行や信金中央金庫など金融機関での導入例も多く、2023年2月時点で100近くの行庫が採用。2022年7月にはみずほ銀行と連携し、同行の取引先企業の脱炭素化を支えているという。
「Scope3」の排出量を算定
法人向けグリーンフィンテックでは、JCBの契約企業が法人カードの利用明細データをe-dashのサービスにアップロードすると、CO2排出量を算定してグラフなどで可視化する。CO2の排出量を植林などへの投資で相殺する「カーボンオフセット」の機能も提供する。